K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Kris Davis: Octopus(2016) 一音一音の粒だった強さ

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クリス・デイヴィスの前作は様々な奏者。その中の一人がクレイグ・ティボーン。

このアルバムのあと、全米ツアーのようなものをやったときの記録がこのアルバム。youtubeにも記録が残っている。

今年1月末に出たアルバム。

ボク自身はピアノ・デュオは苦手意識がある。音が多すぎて、うるさい。あと1979年にライヴ・アンダー・ザ・スカイで聴いた「チック・ハービー」のデュオが、あまりに詰まらなかった、からかもしれない。ウルサイし、フザけていたからね。

例外的に良かったのはメルドー・ヘイズ。ジャズ性は全くないが、現代音楽的な曲の作りが良かった:

さらに驚いたのは田中鮎美らの3 pianos:

ピアノを3台使って、空間の3軸を固定し、移ろう時間や大気のようなものを、ごく少ない音で表現したような、蠱惑の空間。音が静寂を表現していた。

このアルバムは2人会話という印象ではない。むしろ過剰なくらいの作曲の力や、演奏力のようなものを空間に詰めたような息苦しさ、がある。しかし、うるさい、と感じさせない一音一音の粒だった強さ、が愉悦を与える。二人とも巧いなあ。

現代音楽をフィールドにした作曲者が、ジャズや即興音楽の音響的な側面を頂いて弾いてみました、と聴こえなくもない。しかし、カーラ・ブレイとサン・ラの曲も取り上げたり、また音のゆらぎがジャズ出自であることを教えてくれることもあるような、不思議な感覚に浸ることができるのだ。

 

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Kris Davis: Octopus(2016, Pyroclastic Records)
1. Interruptions One 10:54
2. Ossining 08:02
3. Chatterbox 10:04
4. Sing Me Softly Of The Blues – Interruptions Two 14:36
5. Interruptions Three 07:15
6. Love in Outer Space 07:47
Kris Davis(p), Craig Taborn (p)