石橋英子: The Dream My Bones Dream (2018, felicity)
1. Prologue: Hands on the mouth
2. Agloe
3. Iron Veil
4. Silent Scrapbook
5. A Ghost In a Train,Thinking
6. The Dream My Bones Dream
7. Tunnels to Nowhere
8. To the East
9. Epilogue: Innisfree
石橋英子, アイヴィン・ロンニング, 須藤俊明, ジム・オルーク、ジョー・タリア, 波多野敦子, 山本達久, 李犁
共同作詞(M-2):程璧(チェン・ビー)
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今朝の一枚目のアルバム。レコードで聴く意味は何だろう。
細かなノイズの輪郭がエリアジングのようなもので誇張されるのではなく、融解し音と音の隙間にグラデーションのような光彩を与えるような、そんな無意味なことを円環状に繰り返し考えていた。
休日の朝、円盤が廻り、柔らかな音が流れる。それで十分ではないか。
今日はゆっくり休もう
[2018-10-02]耳を惹くような「奇妙さ」は薄いのだけど
40年くらい前から暫く(10年弱)、一所懸命にジャズを聴いていた。聴きすすめるうちに、日本の奏者の良さを強く感じた。和ジャズと云われると、コトバに違和感があるが、中央線ジャズというとまだ違和感があるが、含意が瞬間で伝わる何か、がある。
そんな1970年代末から1980年代にジャズの端っこで見え隠れする女性奏者・歌い手がとても面白く感じた時期がある。渡辺香津美KYLYNバンドでの矢野顕子、坂田明のバンドでの橋本一子、本多俊之のRadio Clubでの小川美潮。今では随分と溶けてしまったが、当時は強固だった「ジャズ・ファンの境界意識」を無力化するパワーが強かった、と思う。先日出版された本で云う「アヴァンミュージック」への誘いは、まさに彼女達からの(だけではないが)招待であったと思っている。
そして、今、やはりジャズを聴いていると、端っこで見え隠れする女性奏者・歌い手がとても面白く感じている。本アルバムの石橋英子、小田朋美、角銅真実。石橋英子はオルークとのアルバムで聴いているのだけど、あのような漂う音が、どうなっているのか興味があった。
「あのような音」あり、もっとノイズのような音もあり、なのだけど、一番惹かれたのは中国語の歌曲。浮遊するような、そんな心許なく儚い印象。カフカ鼾で聴かせる音世界をさほど変えずに、ポップな(に聴こえなくもない)切り口を実に上手く接合したような感じ。最近の通勤途上の定番。まさに様々な音を畳み込んでいて、ジャンルを議論する必要のない音楽。実に好み。1980年の彼女達と比べると、耳を惹くような「奇妙さ」(褒め言葉)は薄いのだけど。頭の引き出しにはアート・リンゼイの隣に入った。