K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(BLP4009) Bud Powell: The Scene Changes, The amazing Bud Powell Vol. 5 (1958) あまりにベタな名盤なので気恥ずかしいが

(BLP4009) Bud Powell: The Scene Changes, The amazing Bud Powell Vol. 5 (1958, Blue Note records)
A1. Cleopatra's Dream (Bud Powell)
A2. Duid Deed (Bud Powell)
A3. Down With It (Bud Powell)
A4. Danceland (Bud Powell)
A5. Borderick (Bud Powell)
B1. Crossin' The Channel (Bud Powell)
B2. Comin' Up (Bud Powell)
B3. Gettin' There (Bud Powell)
B4. The Scene Changes (Bud Powell)
Bud Powell(p), Paul Chambers(b), Art Taylor(ds)
Cover design: Reid Miles
Cover Photo: Francis Wolff
Recorded by Rudy Van Gelder
Lacquer cut by RVG
Producer:  Alfred Lion
Recorded December 29, 1958.

The Amazing Bud Powell – The Scene Changes, Vol. 5 (1961, 2nd cover/1st labels, Vinyl) - DiscogsThis edition has the first pressing labels, but 2nd edition cover. Both labels say 47 West 63rd. St without Inc, deep groove, RVG stamped, and Plastylite P. Laminated cover has Inc and 43 West 61st, whereas the 1st pressing says 47 West 63rd without Inc. The cover is the only discernible difference between pressings. Pressing date is estimated, cannot be confirmed as 1961.
Released:  1961
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あまりにベタな名盤なので気恥ずかしいが、今日はこれを。

ブルーノートは好きな演奏が多く、録音に難があることが多いが、緩リと蒐めている。もともとはキング盤から。この10年はRVG刻印(ラッカー盤までヴァン・ゲルダーがmanage)を中心に。レコード復活の余波での高騰により、キングでも東芝でもいいや、が現時点。いよいよ保有盤の記憶が怪しいので、整理をはじめた(RVG刻印盤までチェック、ふう)。

好みは「新主流派」あたりなんだけど、集めきった感はない。

そんな確認作業の中で久々にこれをきいた。京都のレコード屋で見つけて、迷いに迷って買った盤。初期のプレスだけど、オリジナルではない。以前あったDIG中平穂積氏の講演で話があった、もっと青っぽいジャケットがオリジナル。

保有盤はこれに準じたものらしい。カバーのReid Miles、写真はFrancis Wolff、録音からラッカー盤制作までRudy Van Gelder、そしてプロデュースはAlfred Lionという、完璧なラインナップ。好きな1960年代後半のBNでは、これがstep by stepで崩れていく。そして1970年代早々には別のブルーノートレコードに変貌する。その後、2回の復活はブルーノートの僭称に過ぎないのだ。

以前から書いているように、Blue Noteのピアノの音は嫌いだ。圧縮され、高域も抑えられ、場末のバーのアップライトピアノのようだ。本盤はややましで、聴く気になれない、程ではない。全体のパッケージとしてみた時の味は、例によって夜中の酒場で、存外に引っ張られる。

パウエルの絶頂期は1940年代後半とされ、ルースト盤やBN盤、Verve盤を昔(40年前)はよく聴いた。兎に角、神がかって運指は早い。速度が生み出す緊張感、が良かった。

今は1960年あたり、本盤やパリでの録音の典雅な味わい、が美味しい。既にパウェルのコンテキストは刷り込まれているので、それによる哀愁も肴だと思って味わうことにする。速弾きの頃とは違う、ハードバップ期の名手たちのサポートも実に控えめで良い。多分、彼らのダイナミックレンジの自己抑制で、パウェルのピアノのレンジがやや広がり、BNにしてはピアノが良い、なのだろう。

ここまで書いて、ECMのアイヒャーの「残響癖」でのピアノの音の輪郭融解が嫌だ、と思う気持ちと同じだな、と思った。アイヒャーもBNのライオンもドイツ人。何か通底するものがある。だからライオン後のBNも部品が次々に脱落するように崩壊していったし、将来のECMも似たような運命ではなかろうか、と思えてならない。

追記:

BNのヴィンテージ盤に1万円以上支払ったのは(2万円いかない)、これとロリンズのヴィレッジ・ヴァンガードくらいかと思う。(当時ですら)Too muchに感じたので、ジャケット破損なんかで安価なRVG刻印盤(ほとんどがリバティ)である。

スリーブには心惹かれるものがある: