Vlado Perlemuter: Ravel Piano Works (1973, Nimbus Records)
Miroirs 26:33
Gaspard De La Nuit 21:46
Sonatine 11:22
Le Tombeau De Couperin 24:36
Vlado Perlemuter(p)
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10年以上前にMちゃんにラヴェルのピアノ曲の魅力を教えられ、それから何人かのラヴェル集を入手し、聴いている。アルヘリッチのガスパールでもそうなのだけど、ヴァーチュオーゾが弾く、粒立つ美音に痺れるような聴き方をしていたと思う。ここ数年は、ロジェ・ムラロの演奏が気に入っていて、よく聴いていた:
ひょんなことから、ヴラド・ペルルミュテール(1904-2002)のラヴェル集を知った。
ヴラド・ペルルミュテール - Wikipedia
1925年から1927年頃、ラヴェルの目の前にて、ラヴェルが作曲したピアノ曲殆ど全てを弾いた。その時に、ラヴェル本人から譜面不表記の、裏の記号、指示等全てを作曲者本人から教え込まれた。ラヴェルはピアニストに細かい指示を出すことがあまりないといわれるので、かなり珍しいことと判断される。それ故に、ペルルミュテールは「ラヴェル弾き」と言われる。
ボクの祖父の世代の人なので、確かにラヴェルと時間が交差しているのだ。ラヴェル集は、1950年代収録のモノラル盤(仏盤レコード手配中)、1970年代収録のステレオ盤(日本盤レコード、UK盤CD入手)がある。ステレオ盤のレコードについては、当初4チャネル盤で出されたようで、UKステレオ盤の3枚がうまく見つかりそうになかったので、日本盤のボックス・セットを入手。これが実に良い音で満足している。
さて1970年代収録盤であるが、とても面白かった。まず、今まで聴いてきた演奏との違いが、かなり明瞭にあって、その違いに驚きと面白さを感じた。そして次第に、後年の奏者達のような、技工を極めるたような音が直線的に走るような演奏、ではなくて、もっとパッセージとパッセージの間に深いグラデーションがあり、それが醸しだす陰翳に捕らわれてしまった。揺れ、のようなものも強いように感じる。
で、勿論の美音で弾かれるので、これに惹き込まれない訳がない。この2週間で一番聴いたアルバム。CDでもレコードでも。