K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Tyshawn Sorey: Susceptible Now (2024) 疎な音の列でうつむき加減のグルーブ感に導かれるような

Tyshawn Sorey: Susceptible Now (2024,Pi record ings)
1. Peresina 15:22
2. A Chair In The Sky 22:33
3. Your Good Lies 26:06
4. Bealtine 15:23
Tyshawn Sorey (ds, arr), Aaron Diehl(p), Harish Raghavan (b)
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タイショーン・ソーリーの新譜。最近、ECMのアルバムにもcreditされるようになり、知名度が上がっていると思う。しかし、10年ちょっと前のアルバム、例えばトッド・ニューフェルドとのKoan(公案)のような、少ない打音で音の空間を大きく広げて行くような演奏からすると、近年のピアノトリオでのアルバムでは、聴きどころが掴みようがなく困惑していた。伝統的でもなく、前衛的でもなく。

すこし、ゆったりとした気分でこの新譜を聴いていると、やはり伝統的でもなく、前衛的でもないのだけど、Koanと同じような音のスキーム、のようなものが浮かび上がってきて、強く惹きつけられた。Koanでもそうだったのだけど、菊地雅章の音楽に通底する、一音一音を絞り出すような疎な音の列でうつむき加減のグルーブ感に導かれるような、あの感じ、である。

アーロン・ディールのピアノも凄くいい。打音が粒立っていて、柔らかく刺さってくる。かなり気持ちが良い。

Koanの後に現代音楽の方向へ進んでいき、あるときからピアノ・トリオへ急旋回して、なんか掴みどころがなかったのだけど、再び聴く対象としての射程に戻ってきて嬉しい。

The Susceptible Now

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