Louis Stewart, Jim Hall :The Dublin Concert (1982, Livia Records)
1. Stella By Starlight (Victor Young) 4:38
2. 2 Degrees East, 3 Degrees West (John Lewis (2)) 9:46
3. But Beautiful (Jimmy Van Heusen) 4:44
4. All The Things You Are (Jerome Kern) 5:20
5. Saint Thomas (Sonny Rollins) 3:24
6. My Funny Valentine (Richard Rodgers and Lorenz Hart) 6:57
7. How Deep Is The Ocean (Irving Berlin) 5:39
8. In A Sentimental Mood (Duke Ellington) 5:46
Jim Hall, Louis Stewart (g)
Original Recording: Gerald Davis
Mastering]: Seán Mac Erlaine
Engineer [Digital Transfer] : Daire Winston
Executive-Producer: Dermot Rogers
Concert recorded December 26, 1982 at Macabi Hall, Dublin, Ireland.
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x(旧twitter)のtime lineを眺めていると、殺伐とした炎上話題が流れうんざりするが、時折、聴き逃した・知らなかった音源を教えてもらえるので、止められないでいる。この発掘音源も随分と前に出たようだけど、全く気がついていなかったので嬉しかった。
今年の新譜で最も聴いたのは本作(1982年録音ですが)。個人的には全盛期ジム・ホールの未発表録音しかも欧州最高峰ルイス・スチュワートとのデュオという素晴らしい演奏が衝撃だったのですが、ほとんど話題にならず周りのジャズ関係者も聴いていないのが残念。今からでも遅くないのでお聴きください。 https://t.co/LwuU48wpzJ
— Yoichi Hirai 5th CD"Mondendal"発売中 (@HiraiYoichi) 2024年12月27日
(注:上記Xリンクをようやく見つけて入れ替えました)
ルイス・スチュワートは1970年代のジョン・テイラーとの共演盤で魅了された。コリアの曲が新宿のレコード屋のフロアを吹き抜けていき瞬殺。そのような出会いは滅多にない:
ジョン・テイラーや1970年前後のチック・コリアのピアノに感じる音の清新さ、そのギター版がルイス・スチュワートと感じたのだと思う。そしてバッパー的な味わいもしっかり残している。
ルイス・スチュワートをLouis Stewart (guitarist) - Wikipediaで復習すると:
Louis Stewart (5 January 1944 – 20 August 2016)
アイルランドのウォーターフォードで生まれ、ダブリンで育つ。 ギタリストのレス・ポールやバーニー・ケッセルの影響を受け、13歳でギターを弾き始める。 ダブリンのショーバンドでプロのキャリアをスタート。 1968年、モントルー・ジャズ・フェスティバルで最優秀ソリスト賞を受賞。 デビュー・アルバム『ルイ・ザ・ファースト』をダブリンで録音した後、ロンドンでビリー・ヒギンズ、ピーター・インド、サム・ジョーンズ、レッド・ミッチェル、スパイク・ロビンソンらとレコーディング。 1970年代半ばから後半にかけては、ジョージ・シアリングと活動し、アメリカ、ブラジルをツアーし、ヨーロッパのフェスティバルに出演し、シアリングとデンマークのベーシスト、ニールス・ヘニング・オルステッド・ペデルセンとの名人芸トリオでMPSレーベルに数枚のアルバムを含む8枚のアルバムを録音した。 スチュワートは、ジョー・ウィリアムスやJ.J.ジョンソンのアルバムにも参加し、他の多くのジャズ・ミュージシャンとも共演している。 リーダーとしての全米デビューを控えた1981年、ニューヨーク・タイムズ紙は「スチュワート氏の音楽的ルーツはビバップにあるようだ。 彼はチャーリー・パーカーに関連した曲に傾倒し、単音のラインを淡々と優雅に紡ぎ出し、突然明るく生き生きとしたコード・フレーズで彩る。 彼のアップテンポの名人芸は、バラードに対するゆったりとしたアプローチとバランスが取れており、リズムの強調を犠牲にすることなく曲のムードを掴んでいる」スチュワートは、ノーマン・モンガンの著書『The History Of The Guitar In Jazz』の中で、現代の巨匠とされるギタリストたち(ジム・ホール、パット・マルティーノ、ジョージ・ベンソンといったプレイヤーたちと共に)を取り上げた章で大きく取り上げられている。 スチュワートのライヴ・アルバム『Overdrive』(Hep、1993年)のレビューで、AllMusicは「ルイス・スチュワートはオールタイム・グレーツの一人であり、それは彼がどのような機会に演奏しても、最初の一音から明らかだ」と述べている。 1998年、スチュワートはダブリンのトリニティ・カレッジから名誉博士号を授与された。2009年、文学、音楽、ビジュアル・アートに携わる人々で構成されるアイルランドの団体Aosdánaのメンバーに選出された。 2015年、スチュワートは癌と診断され、2016年8月20日にダブリンのハロルズ・クロスで死去、72歳だった。
前置きが長くなった。
このルイス・スチュワートとジム・ホールの音源があるなんて!驚き以外の何者でもない。スチュワートの音源自体に話題性がないので、見逃したのだろう。早速レコードを注文し、ディジタル音源はbandcampで入手。
これを聴くと、二人のギターが全く同質で溶け合ったような演奏。キャリア的にスチュワートがホールに合わせたのだろうけど。エヴァンスとのundercurrentをギター・デュオに置き換えたような、美味しさ。(多分)ホールのギターがリズムを刻むとき、ゾクっとしてしまった。
発掘盤にありがちな、音の劣化やディジタル・イコライズによる不快な音の歪みもない。実に快適な音。これも素晴らしい。レコードが楽しみ。
これは思わぬ年末のお年玉。良い一年の締めになった。