Bill Evans: Moon Beams (1962, Riverside Records)
Mono, RLP 428
A1, Re: Person I Knew (Bill Evans) 5:42
A2. Polka Dots And Moonbeams (Burke-Van Heusen) 4:57
A3. I Fall In Love Too Easily (Styne, Cahn) 2:39
A4. Stairway To The Stars (Signorelli, Malneck, Parish) 4:48
B1. If You Could See Me Now (Tadd Dameron) 4:24
B2. It Might As Well Be Spring (Rodgers & Hammerstein) 6:03
B3. In Love In Vain (Kern, Robin) 4:56
B4. Very Early (Bill Evans) 5:04
Bill Evans(p), Chuck Israels(b), Paul Motian(ds)
Engineer: Bill Schwartau
Photography by Peter Sahula, Steve Schapiro
Producer: Orrin Keepnews
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今夜のモノラル盤。やはり音圧が高く、打音の強靱さを楽しめる。
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのニコがジャケット。そう、あのウォーホールのバナナのジャケットのやつ。何も新月の晩にかける盤じゃないかもしれないが、実はラファロの盤よりはイスラエルの盤のほうが好み。落ち着いてピアノを聴くことができるから。そう、時折弾けるエヴァンスのピアノの打音が美しい。
こうやってエヴァンスをゆっくり聴いていると、そのスタイルが時期時期で結構変わっていることに気がつく。この時期はインタープレイというよりは、訥々と唄う感じで、名盤臭がなく、ゆったりと打音の美しさを愉しむことができる。晩年の息が詰まるような速度感とは別世界。しかし、あんまり人気がないと思うので、モノラル盤でも安価だった記憶がある。お勧め。
世評と個人的な好みは別の世界だ。1960年代のマイルス・デイヴィスのバンドも、一番好みはジョージ・コールマン時代。上手く云えないのだけど、あのバンドの空気にはショーターでもコルトレーンでもなく、コールマンだといつも思う。ショーター好きではあるが、ショーター時代のマイルスバンドの内省的な空気は好きじゃない。(最近、関西のジャズライター?の方々のyoutubeチャネルがあって、ちょこっと聞いたらそんな話をしていて、膝を叩いた)
エヴァンスもこれと同じような話。このような愛すべきアルバムをあと幾つみつけるか、そんな気持ちでターンテーブルを廻している。
[2013-07-26] 何とも気持ちよき夜半に聴くエヴァンス
春頃から、仕事と山以外は案外自室に閉じこもっている。気持が内向きのようなので、自分から出かけて行って遊ぶことも少なくなっている。仕事や誘われたときだけ。その分、走ったり、山に行ったりすることに気持がいっているのだけど。昨日は梅雨が明ける前の蒸せ返るような夕暮れだったのだけど、ゆっくりと1時間ばかり走っていると、とても気持がよくて、気分が大きく変わったことに気がついた。ギアのポジションが変わったような気がした。気のせいかもしれないが。
そんな昨夜なのだけど、注文していた2枚のレコードが届いた。RiversideのBill Evans盤。Moon beamsとHow my heart sings !。初期のモノラル盤(オリジナルかどうか、よく分からないが、Riverside倒産前のプレス)。ラファロ亡き後に組んだChuck Israelとのアルバムは比較的安価なので、手を出しやすい。日曜日にYさんが持ってきてくれたExplorations(オリジナルのモノラルプレス)を聴いて、ピアノの美音とベースの力強い音圧に痺れて、すぐさま欲しくなった、ということ。
Chuck Israelとのアルバムではベースは裏方、が鮮明。だからラファロが見せたようなピアノとのインタープレイの妙のようなものは感じない。だからアルバムとしての評価は高くないのだけど、ボクはエヴァンスのピアノを楽しむには十分だと思っている。曲の美しさ、のようなものを感じるにはラファロとのアルバムよりも楽しめるような気がする。
それにモノラル盤で聴くエヴァンスのタッチの強さ、そのリアリティにすっかり魅了されてしまった。だから、昨夜は2枚のLPレコードの裏表をしっかり楽しみ、まだアンコールが欲しいような楽しい気分になった。で、すっかり呑みたくなって、夜半前に呑みに出かけたという次第。そんなノリって、いったい何ヶ月ぶりだろうか。少し懐かしい気持になってしまった。そして、梅雨のお仕舞い方の稲妻が光る中、慌てて帰るという楽しい夜だった。