K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(ECM1041) Jan Garbarek: Witchi-Tai-To (1973) 欧州奏者としての独自の音

Witchi-Tai-To

[ECM1041] Jan Garbarek: Witchi-Tai-To (1973)
A1. A. I. R. (Carla Bley) 8:15
A2. Kukka (Palle Danielsson) 4:32
A3. Hasta Siempre (Carlos Puebla) 8:10
B1. Witchi-Tai-To (Jim Pepper) 4:24
B2. Desireless (Don Cherry) 20:25
Jan Garbarek(ss,ts), Bobo Stenson(p), Palle Danielsson(b), Jon Christensen(ds)
Design [Cover] : B & B Wojirsch
Engineer: Jan Erik Kongshaug
Photograph[Cover Photo]: Paul Maar
Producer: Manfred Eicher
Released: 1974
Recorded November 27 and 28, 1973 at Arne Bendiksen Studio, Oslo

https://www.ecmrecords.com/shop/143038750651/witchi-tai-to-jan-garbarek-bobo-stenson-quartet

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ボボ・ステンソンとの双頭名義のアルバム。後年のアルバムと初期のフリーキーなアルバムの中間点。概ね後年に連なるような、作り込まれた音なのだけど、一部、コルトレーン的なブロウもあり(B面2曲目のチェリーの曲)、まだ過渡期かな、という感じ。

久しぶりに、この時期のECMを聴いているのだけど、はっとするのは米国ジャズの焼き直しではなく、確かに彼らの音楽とidentifyできるような音が出来上がっていること。改めて、ここまでのレコードを見てみると、米国の奏者が室内楽的なアプローチをしているものが多い。欧州の奏者はさほど多くない。このアルバムがECMという媒体を使った欧州奏者としての独自の音を生み出しはじめた道標のような1枚じゃなかろうか。1973年末。丸五年ステンソン、ダニエルソン、クリステンセンのリズム・セクションが作り出すビートは、当時の米国のものとは異なるドライヴ感のうえにある。透明度が高く、控えめな彼らの音の上でのガルバレクは、後年ほどでもないが低い温度で燃えている様が面白い。

実はガルバレクのチャルメラのような響きは、全く好きでない。だからB面2曲目のコルトレーン的世界のテナーをブロウする瞬間が一番いいなあと思う。ECM的な音世界のなかのコルトレーンも悪くない。

それと改めて気がついたのは、ボボ・ステンソンを抜いてキースを入れると、後年のBelonging。確かに、このアルバムにない華のある音になる。そんなことを考えながらアイヒャーはこのアルバムを作っていたに違いない、と思う。

 

Witchi-Tai-To by Jan Garbarek

Witchi-Tai-To by Jan Garbarek

 

LC番号が付いているので後年のプレス