[ECM1038] Art Lande: Red Lanta (1973)
A1. Quintennaissance (Art Lande) 5:35
A2. Velvet (Art Lande) 5:37
A3. Waltz For A (Art Lande) 3:43
A4. Awakening - Midweek (Art Lande) 10:58
B1. Verdulac (Art Lande) 7:07
B2. Miss Fortune (Art Lande) 5:06
Medley (Art Lande) :
B3a. Open Return - Cancion Del Momento 5:44
B3b. Meanwhile 4:17
B3c. Cherifen Dream Of Renate 2:06
Art Lande(p), Jan Garbarek(fl, ss, bass-sax)
Design, Photograph [Cover Photo]: Frieder Grindler
Engineer: Jan Erik Kongshaug
Producer: Manfred Eicher
Recorded on November 19 and 20, 1973 at Arne Bendiksen Studio, Oslo
https://www.ecmrecords.com/catalogue/143038750643/red-lanta-art-lande-jan-garbarek
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[2015-07-02] ジャズ・室内楽
静謐を一枚のvinylに封じ込めた、ような印象。既にデュオとしてチック・コリアとゲイリー・バートンのCrystal silenceがあるのだけど、もっと曲ととして作り込められ、ジャズからの遠心力が強くなっている。40年という時間を全く感じさせない、現代のジャズそのもの。
アート・ランデって、ECMの諸作は好みで知っていたのだけど、それらの音でしか知らない。何者なんだろうとwikiを見ると1947年ニューヨーク生まれ。マサチューセッツの大学で学んだ後はベイエリアへ。ECMで活発にアルバムを出した後は、シアトルやスイスの学校で音楽教師をやって、今はコロラドのボウルダー。経歴から見えてくるのは、オレゴンと通じるような、アメリカの「あの世界」。静謐音な音が生まれる背景、が透けて見るような。
ガルバレクとのデュオという形式も、そんな音世界にぴったりで、二人で空間に石片をゆっくりはめ込むような、そんな作業の記録。そこにはimprovisatonというよりは、ゆっくりとした語らいのような旋律が流れていく。温度感は今のECMほど冷たくはないが、当時の音としてはかなり低い。しかし音と音の間に流れる暖かい大気、のようなものは、乾いていなくて、適度に湿潤。そんな空気感はタウナーのオレゴンに通じるものであり、彼がいたマサチューセッツやベイ・エリア、東西海岸の北部の森林に流れているもの、のようだ。それを捉えた見事な録音、適当な残響感が広い奥行きを感じさせる。
今回のECMのLPレコード蒐集ではじめて聴いたアルバムだけど、静かな驚きを感じながら聴いた。1973年の音に思えなかったから。以前から聴いていたルビサ・パトロールのような、やや過剰な民族音楽的な要素がなく、まさにアメリカ北部の白人の地金のような音。そしてガルバレクの北欧の音との親和性が高く、見事に溶け合った会話、声にならない静謐な会話、を十分に愉しんだ。
関連記事:
https://jazz.txt-nifty.com/kudojazz/2005/07/red-lantaart-la.html
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