K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(BLP1581) Sonny Rollins: A Night at the Village Vanguard (1957) 時間を超えた旅、のような感覚

(BLP1581) Sonny Rollins: A Night At The Village Vanguard (1957)
A1. Old Devil Moon(Lane, Harburg)
A2. Softly As In A Morning Sunrise(Romberg-Hammerstein)
A3. Striver's Row(Rollins)
B1. Sonnymoon For Two(Rollins)
B2. A Night In Tunisia(Robin, Gillespie)
B3. I Can't Get Started(Gershwin, Duke)
Sonny Rollins(ts), Wilbur Ware(b except B2), Elvin Jones(ds except B2)
Donald Bailey (b on B2), Pete La Roca (ds on B2)
Cover Photo: Francis Wolff
Cover design: Reid Miles
Recording: Rudy Van Gelder
Lacquer cut:  RVG
Producer: Alfred Lion
Recorded live on November 3, 1957.
Label from 1962/1966
BLUE NOTE RECORDS INC . NEW YORK USA
With "Ear" stamped both sides in the wax

Sonny Rollins – A Night At The "Village Vanguard" (1962, Vinyl) - Discogs

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BNの保有レコードを調べるなかで、懐かしいアルバムを再聴している。気恥ずかしいレコードが続く。

これは一番最初に購入したアルバムじゃないかな。ディスクガイドを買って、熱心に蒐集しはじめた1979年の話。当時、国内盤(キング)よりも安価だった輸入盤(いわゆる音符盤)を入手。何回、聴いたのだろうか。これ疑似ステレオの困った盤なのだけど(当時の米コロンビア盤のマイルスもそうだった)、当時はそんなことも気にせず、であった。

10年近く前、名古屋のバナナレコード・ジャズシンジケート(コロナ禍のなか閉店と聞きます)で、割と安価にRVG刻印盤を入手し嬉しかったな。Libertyになる前のNew Yorkレーベル。調べると4th press。オリジナル指向ではないので十分。

BNの嫌な部分、ピアノが駄目すぎる、については、このレコードは無縁。管、ベース、ドラムのせめぎ合い、がレコードの再生レンジに押し込まれていて、実に気持ち良い。ヴァン・ゲルダーの乾いた音が演奏とピッタリ整合している。

演奏には隙がまったくなく、大きな構造物のなかで嵌め込まれたようにサックスが鳴り、それをドラム、ベースが支えるという、当時のロリンズのスタイル。音数が過剰でなく、精緻に組み立てられたという印象を与える。実にスマートという言葉が似合う。

名高いエルヴィンのドラムも勿論良いが、1曲だけ入ったピート・ラ・ロカをこの盤で知って好きになった。25年ほど前、Sweet Basilで彼を聴いて嬉しかったな。

聴こえ方が40年以上前とあまり変わっていない、という時間を超えた旅、のような感覚だった。

ヴィレッジ・ヴァンガードの夜

ヴィレッジ・ヴァンガードの夜

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[2013-12-31] 年のお仕舞をコレとは、いささかアレですが

晦日の朝、コレを聴いている。ブログを書き始めて、年のお仕舞をコレとは、いささかアレですが、という気持ちなのだけど。10日ほど前に、Blue Noteのモノラル盤探しの中で見つけて、入手した。その「音」のレポート。演奏については語るまでもない大名盤。テナーサックス1本で、これだけの音空間を埋め尽くし、ジャズとしてのドライヴ感を完璧に維持している。そして、それをライヴで実現する凄み、を見せつける。エルヴィンの多彩な音を繰り出す技も凄いのだけど、スムーズなスイング感を叩き出すラ・ロカも好ましい。ジャズを聴きはじめた頃からの愛聴盤。皆さん、あまりブログに出さないのも、当たり前に素晴らしいからだと思う。

12月にディスクユニオンの復刻シリーズからコレが出る、と知って、「あの」良質なモノラル盤が欲しくなってしまった。そのタイミングで復刻盤2枚ちょっとの価格でオリジナルを見かけたのだから、手が出てしまった。

左上:本家Blue Note(NYCレーベル、モノ、Van Gelder刻印、耳あり) 右上:キングレコード盤(1978年頃)

左下:UAからのBlue Note盤(,音符レーベル、疑似ステレオ,1970年代後半)長く聴いていたのはコレ

さすが日本盤は色の再現性を含め、立派な復刻

左:本家Blue Note  右:キングレコード

これもよく再現されている。ただ深溝がない、そこが大きな違い。

 

これは本家のレコード袋。目眩がする写真

 さて、上記3枚とディジタル音源を聴いてみた。計4種

 本家Blue Noteはすかっとした音場。奏者と聴き手の距離がとても短く、ドラムの細かな音まで拾っている。モノラルの力強い音が嬉しい。

 キング盤は本家Blue Noteにもっとも肉薄していて、なかなかVan Gelder録音として聴かせているように思った。ただ、ドラム、特にシンバルの音が引っ込んでいて、微妙に残念な感じがある。だけど、コスト・パフォー マンス的には、コレデいいのかな、という感じが強く残った。東芝盤も試してみようかな、って馬鹿なことを一瞬考えた。

 ディジタル音源の臨場感はなかなか良かった。確かにヴィレッジ・ヴァンガードの臨場感。だけどディジタル音源が総じてそうなのだけど、なんか膜が張ったような感覚が鮮度を落としている。籠ったような感じ。古い演奏のディジタル化は何だろうね、去勢したような感覚がついてまわる。音は綺麗なんだけど。

 今年一年を象徴するようなアホな大晦日の朝だったのだけど、さて来年はどうなるだろうか。

 皆さん、良いお年を。