K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

The Tony Bennett Bill Evans Album (1975) UK盤で聴く

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Tony Bennett, Bill Evans: The Tony Bennett Bill Evans Album (1975, Fantasy)
A1. Young And Foolish (A. Hague, A. B. Horwitt) 3:50
A2. The Touch Of Your Lips (R. Noble) 3:54
A3. Some Other Time (A. Green, B. Comden, L. Bernstein) 4:40
A4. When In Rome (C. Leigh, C. Coleman) 2:53
A5. We'll Be Together Again (C. Fischer, F. Laine) 4:36
B1. My Foolish Heart (N. Washington, V. Young) 4:47
B2. Waltz For Debby (B. Evans) 4:20
B3. But Beautiful (J. Burke-J. V. Heusen) 3:34
B4. Days Of Wine And Roses (H. Mancini, J. Mercer) 2:20
Tony Bennett(vo), Bill Evans(p)
Executive-Producer – Orrin Keepnews
Producer: Helen Keane
Engineer: Don Cody
Recorded at Fantasy Studios, Berkeley, Ca.; June 10-13, 1975

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日本盤は高域を切ったような丸い音(柔らかい音とも)、米盤は高めのエネルギーを発散させるような強い音、欧州盤は堅めで温度が低い、そんな印象ではなかろうか。だからECMはその印象を強め、名レーベルの評価を高めた。ENJAやSteeple Chaseは米盤向きの音楽を収録したので、何となくチグハグな印象が残る、そんなことはないだろうか。

このベネット・エバンスのデュオのUK盤を入手した。安レコードである。しかしエバンスのピアノの美音が素晴らしい。欧州盤の魅力が発酵し、冷たくも甘い音がベネットの背後に流れる。米盤では美しくもざらっとした質感があって、ジャズアルバムとして十分魅力的である。このUK盤はクラシックともムード音楽とも思えるくらい甘さを感じさせ、それがベネットの声との素晴らしい化合物を作っている。

たぶん、ほんの僅かな差、なのだけど、その差が透明な、透き通るような甘さ。素晴らしく堪能できる、のだ。

 

米盤は厚紙、UK盤は所謂ペラジャケ。質感は悪くないが、米盤からのコピーで解像度が若干落ちている感じが残念。

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[2019-06-06]

少しレコード・CD蒐集の疲れを感じたので、箸休み。大好きなレコードを並べてみたいと思った。

随分沢山のレコードを手元に置いているのだけど、何回聴いているのだろうか。断捨離なんて唾棄すべきコトバ(響き、語感ともに汚いよね)の対極で生きているのだけど、それがいいと居直っている訳でもない。自問自答しながら、だらだら続けているのだ。「何回も聴きたくなるレコード」を探し求めて。

このレコードは既に何回聴いたか、全く分からないぐらい聴いたアルバム。買ったのが1981年頃。当時の安レコードだ。買った頃はあまり聴いていなかったが、ある時期(思い出せない)から繁く聴いている。

針を下ろしてから、スクラッチ音から沸き上がるトニー・ベネットの声、それに背後から寄り添うエヴァンスの控えめな音が美しい。そしてゆっくりと聴き手の時間を33回転の盤面のなかに惹き込んでいく。

「ジャズ初心者」向け(嫌なコトバだ)名盤として紹介されるエヴァンスのアルバムは、CDで聴く限り柔らかな美音で確かにそのような紹介も「あり」だとは思う。しかし当時のレコード盤で聴くと、思いの外、強いタッチで、その力強さに惹かれるような気がする。そして聴き手に余裕を与えない音への緊迫感や執着を知る。

このアルバムはそうではなく、喧伝される通りのエヴァンスの音。弛緩した雰囲気のなかで美音を弾くエヴァンスを愉しむことができる。緊迫ではなく安寧の気分。レコード自体は主はベネットで従はエヴァンス、だからこその味ではなかろうか、と思う。エ

いつもベネットのTouch of your lips, touch of your handsあたりのフレーズを聴いて、静かに痺れているのだ。 

Tony Bennett & Bill Evans Album

Tony Bennett & Bill Evans Album