K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

バンコク・Siam:タイの大学の回廊で(昨夏3)


昨夏の記録3
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バンコクの一昨日は晴れ時々雷.私がいた中心部Siamあたりには,スコールは一回もこなかった.

ホテルのダイニングルームに入ると,お給仕の人たちは手を合わせる"ワイ”でご挨拶.気持ちが溶ける.今朝も朝食をゆっくり楽しむ.Guavaの ジュースを呑み,生ネギ,生生姜,鶏団子,醤油,唐辛子を入れたお粥.蘇る.2つ目玉を焼いてもらう.マンゴや龍眼にヨーグルトをかけて楽しむ.時間がと てもゆっくり流れていく.

そのあと,仕事先の大学のお迎えでSiam方面に向かう.併走するピックアップトラックのうえには作業員達.日本では禁 止だが,こっちでは普通.でも昔は日本でも多かったよねえ,という話題で盛り上がる.結構危ないのだが,事実,事故は少なからず,だそうだ.バイクの2人 乗り,ヘルメット無し,同乗者はスカートでお姉さん座り,なんかが高速レーンに居たりする.呑み屋のお姉さんに「交通事故で危ないよねえ」と聞いた知人が いて,"たまに死んだりするけど,そのときがは仕方がない"と,きっぱりだったそうで.妙に納得.すっかり安心・安全の日本は,すっかり規制で固められて いるとも云える.もっともタイ人の運転手も怖いようで,運転席の天井にお経が書いてあった.お坊さんが金の顔料で書いてくれたとのこと.


タイの大学生は制服.みな真面目な感じで幼くみえ,日本の"地方の進学校"のよう.元来,未来への不安が薄い彼の国のなかで,穏やかに 微笑んで話をしている学生の姿がとても眩しい.話をしても,ほんとうに素直.時折,大きな建物の回廊に立ち,風にあたりながら熱帯の木々をみていると, 違った時間のなかで浅い夢のなかにいるような心地よさがあった.目の前の名も知らぬ木々は,気持ちの中では菩提樹であればいい,とぼんやり思っていた.こ れがバンコクの中心地.近くには有名な歓楽街バッポンやタニアがあるとは思えない.

仕事が終わり,タイの大学の先生達と食事へ.大学横のSiam paragonへ.これは大きな明るいショッピングモール.そのころには雷鳴も止み,再び明るくなっていた.カルフォルニアとか,バンコクとか,たっぷり 陽光が注がれる所では,ショッピングモールを歩くと,楽しい眩しさがある.先生達お勧めの"Somboon seafoods"に入る.ここの売りは蟹のカレー卵とじ"ブーバッポンカレー".いつものようにSingha beerを呑み続ける.何やったって一日の終わりはSingha.


食事の後,日本人の同行者と場所を変える.Ekkamaiのbarへ.(李白でないが)一杯一杯復一杯.Barでの世間話の話題はタクシン前政権.タクシンは地方への利益誘導で貧困層・地方住民の支持が大きいことが知られる(タイの田中角栄).だからバンコクの既得権保有層に嫌われ追い出され た.チェンマイの北の農家出身者としては,タクシンも良かったけど.やっぱり金に汚いよね,とのこと.なんだか田中角栄に対する日本人の気持ちの変化と似ていた.

ここまで書いて,タイで感じるそこはかとない親近感の理由がよく分かった.昭和のある時代に見てきたものが,まだまだ実体として存在していて眼の前で息をしている驚き.自分たちは,沢山のものを得て,またなくしたことの再確認を続けている,だから,浅い夢の中ような時間.

さて昨日・今日は,バンコク北部の大学で別の仕事.朝から晩まで缶詰.今は大学のインターネットで送信.というわけで,ちょっとお休み.土曜は早朝からシンガポールに移動するので,ちょっと寂しい気持ちで過ごしている