未明に目覚め、ずいぶん齢が進んだ月が木星をお伴に漂っているのを眺めながら、ぼんやりとこの1年のことを考えていた。
丁度、一年前に金沢に引越してきたから。
随分、昔のような気がするし、それがとても一年とは思えない時間の流れ。
長い間、住みたかった土地でやりたかった仕事をする1年はとても楽しい。四季を満遍なく楽しみ、いよいよ二巡目の季節にはいる。流れる季節のなか、金沢のいろいろな辻や坂や川が醸しだす雰囲気が愛おしい。あるいは時として、それに呑み込まれ魂を落とすほど惹かれることもある。
大半の時間を独りで過ごすようになって、大半の出来事が初めてのことで、たくさんの知らなかった人と会うことがあって、一年のながさが信じられないほど長くなっている。僅か一週間前、一ヶ月前のことが随分昔のような感覚があって、僅か一週間先、一ヶ月先のことが随分未来のような感覚もあって、粒状になった時間の流れのなかで現在が極端に隔離されているような不思議な感覚になっている。
仕事のことはともかく、平常な生活のカタチが未だ掴めていない漂うような日々を過ごしている。だから「糸が切れた凧のようですね」、という知人の言葉がとても重いのだ。
土日に楽しい友人達との小旅行に行った後だから、いっそう静かな未明の刻をそんなコトを考えながら過ごしていたのだ。
それにしても、ここにはジャズのDisc review中心に書こうと思っていたのだけど、随分な書き散らしになってしまっているなあ。