K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

国仲勝男:暖流

国仲勝男:暖流(1979)
1. アンブレラ・ダン
2. グッドバイ・ポーク・パイ・ハット
3. バグス・グルーヴ
4. ウガンジョ(聖域)
5. カプランガ
6. ナーナ・(石垣島平野)|カウンター・クロックワイズ・トリップ
山下洋輔(p)、佐山雅弘(p)、国仲勝男(b)、坂田明(as)、武田和命(ts),   
清水靖晃(ts)、向井滋春(tb)、粉川忠載(tb)、小山彰太(ds)、古沢良治朗(ds)

昨日までのバンコクとんぼ返り出張のあおりで、日曜のこの時間まで仕事をしている。そろそろお仕舞い。ふっと息をついたら、日曜の21時からはFM放送の「ゴールデンライヴステージ」があって、よくエアチェック(懐かしい)していたなあ、と思い出した。就職してから忙しくて放送を聴く習慣がなくなってしまったのだけど、いつ頃までやっていたのだろうか?なんて考えていたら、最近復活して活躍されている国仲勝男さんのライヴを「ゴールデンライヴステージ」で聴いたことをふと思い出した。

ボクは70年代末からジャズを聴き始めた。その頃のオトが同時代感覚たっぷりで、未だに思い入れもたっぷり。当時は時間もたっぷりあったので(今にして思えば)、NHK-FMのセッション109とかFM東京が配信していたゴールデンライブステージを欠かさずエアチェックしていた。それと関西圏最大のジャズイヴェントであった琵琶湖ジャズフェスティバルにも欠かさず行った。山下洋輔の音楽に触れたのも1979年の琵琶湖じゃないかと思う。Free Jazz「的」世界の入り口として、ライヴはとても正しくて、特に山下洋輔のようなケレン味たっぷりのものはライヴに限る。その後、関西テレビ横「インタープレイ8」にも聴きに行ったことを思い出した。汚いアップライトのピアノの鍵盤を叩きつけ、汗飛びる姿を嬉しそうにみていた10代最後の頃。

国仲勝男を知ったのは勿論、山下洋輔の活動の中。第三期山下洋輔トリオ(山下、坂田明、小山彰太)が徐々に解体されていく課程で,テナーの武田和命と国仲勝男がゲスト出演するようになっていた。はじめて聴いたのは1980年頃の琵琶湖じゃなかったかなあ。その時はペケペケと達者に弾くが、そんなに印象が強い感じでもなかった。PAが悪かったからね。それと、山下トリオとベースはやっぱり合わないように思った。FM放送のゴールデンライヴステージで、国仲にスポットを当てたライヴの印象がとても強く、早々に購入したLPが「暖流」。蒼のとても印象的なジャケット。当時、引き籠ったようにジャスを聴いていたボクにとって、沖縄の海のイメエジはこのLPジャケット。

アンブレラ・ダンス からグッドバイ・ポーク・パイ・ハットでの、Fender Rhodesを弾く山下洋輔がひんやりした感じでアコースティックピアノとは随分違う。その冷ためのFender Rhodesにベースの音がとても冷静にかつ熱く絡む(わかるかな)感じがとても格好がいい。彼のベースはギターのような音のスムーズな流れなのだけど、決して軽くはなくて、時として流れが脳天まで突き上げる重みがある。もともとギタリストだそうで、ギタリストのようなベーシストだった。復活後はベーシストのようなギタリストになっちゃったのだけど。要は,あまり例えるにテキトウなベーシストが思い浮かばない、独特な技巧派のベーシスト。

バグス・グルーヴでは山下洋輔ともども独特のグルーヴ感、70年代の空気、を醸し出していて、曲の割にはちっとも古臭い感じがしない。武田和命のソロは60年代の色が濃いのだけど、それがとても味がある(ゴールデンライヴステージのライヴでは自作のGentle Novemberをやっているのだけど穏やかなベース,ピアノのサポートが絶品)。ウガンジョ(聖域)はソロなのだけど、単なる技巧を聞かされているだけでない、何とも表現の出来ない味わいがあって飽きさせない。 次のカプランガのたおやかな空気への切り替わりが楽しい。

終焉を迎えつつつあった山下洋輔トリオを取り巻く音楽のエッセンスがうまい形でまとまったアルバムで、未だに愛聴盤なのだ。

 

国仲勝男:ゴールデンライブステージ(Frasco)

ボクが聴いたFM放送もアルバムにまるごとなっています。まあコンセプトは暖流と同じで、暖流のライヴ版。

 

追記:

昨年(2009年暮れ)に千葉・稲毛のCandyで国仲勝男さんを27年ぶり(くらい)に生で聴きました。ギタリスト、といっても琵琶のような縦持ちで、ベースのような弾き方。30年近い年月を全く感じさせない風貌で驚いた。金沢から出かけた甲斐があった(シンガポールバンコクへ行く出張とタイミングが合ったので成田経由のフライトにして、稲毛に寄ったのです)。その時のメンバーが、林栄一(as)、小山彰太(ds)で驚き。まさに27年前にピットインでみた山下洋輔プラスなんとか、のメンバーだったのでデジャヴそのものでありました。

国仲勝男さんの最近のアルバム:

国仲勝男、原田節、林栄一、星衛 / 乱反射 Live@烏山TUBO

所謂Improvised musicのような感じで冷ややかな音を延々と紡いでいく。