K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

山下洋輔:In Europe 1983 ピット・インにいた1981年の夏、そして武田和命

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山下洋輔:In Europe 1983 (1983, 日本Columbia)
A1. Panja Suite
A2. Honeymoon Suite
A3 . Strawberry Tune
B1. Picasso
山下洋輔(p), 武田和命(ts), 小山彰太(ds)+林栄一(as)
1983年7月8日 ハイデルベルクにてライヴ

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ピット・インにいた1981年の夏をときどき思い出す。アルバイトで貯めた金を持って、大阪から大垣経由の鈍行で東京へ。早朝の白けた感じの新宿を思い出す。

 関心事は今と変わらず、レコードの買い出しとライヴ。ピット・インでは山下洋輔の1週間。山下洋輔、坂田明、小山彰太のトリオが前年まで。サックスが武田和命に変わった年。ゲストが国仲勝男と林栄一。そのときの印象は、武田和命のテナーにスピード感がなく、林栄一はいいなあ、という感じ。まさに山下洋輔トリオに関心が急速に薄れるきっかけになった。1983年以降は全くレコードを買っていなかった。

 武田和命については、gentle Novemberの伝統的な演奏で痺れさせてくれたが、音数と速度の山下洋輔トリオには合わないなあ、と思ったものだ。

 さて、それから34年。82年に彼らを聴いてから1年後の欧州ライヴ。日本フォノグラムのFrascoレーベル以降はよくわかっていなかったのだけど、最近のCD(完全版)で、その存在を知って、レコードをずっと探していたのだ。そして、今日、入着。ボクが聴いたときの印象と異なり、武田和命のテナーの速度感は何倍にも増していて、素晴らしいものだった。彼の短い人生の中で、急速に上り詰めていった様子、がはっきりわかる。

 1983年からは関東に住んでいたのだけど、武田和命を聴く機会を得なかった。関心がなくなっていたのだ。それが少しだけ悔やまれる。だから、今夜は何回も針を落とし、JBLから噴き出す彼の音を浴びている。

追記:

 なんとなく山下洋輔の斜めに構えた(というのか)ブンカジン的な感じが、どうも胡散臭い、と思ったのも聴かなくなった理由。だからほとんど1970年代のレコードばかり聴いている。

イン・ヨーロッパ 1983 - complete edition -

イン・ヨーロッパ 1983 - complete edition -