K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

鈴木勲・原田依幸:6日のあやめ(1997) 雲が大きな空に広がる6月のような5月の終わり

 

今朝は雨が上がったので,久しぶりに走った。のんびりと10kmを54分で。

河岸段丘の丘の上に住んでいるので、コースである犀川河畔に降りる坂を適当に選ぶのが楽しい。普段は長良坂,櫻坂を登り降りするのだけど、今朝は平和町の先の御参詣坂から降りて、蛤坂を上がった。御参詣坂は野田山の墓所への参詣に前田家一行が船から降りて登った坂,だそうだ。

犀川河畔からみると犀奥の山々から雲が千々に沸き立ち、時折見える青空が眩しい。大気は冷たく、先週、草いきれのなかを走ったのが嘘みたいな清澄な雰囲気に満ちていた。なんだか雲が大きな空に広がる6月のような5月の終わり。

6月のことを考えていて思い出したのは、鈴木勲(b)と原田依幸(p)のライヴ「6月のあやめ」。梅津和時(as)との生活向上委員会(セイコウイ,と略するそうで)以来、フリージャズの極北みたいな原田依幸のピアノが鋭く美しい。ほんとうに久々に聴いたのだけど、ピアノの鳴りがとても良い感じ。そういえば、1980年頃のドイツでのライヴ、原田依幸梅津和時のデュオも原田のピアノが乱れた美しさに彩られていたように思う。いわゆるフリージャズのピアノ奏者のなかで、ボクの好みに一番合っている。

勿論、そんな原田に相対する鈴木勲のベースも寡黙な感じで、ときにビート、ときに音の断章を刻む。そう、空間を刻んでいくようなベース。そんな二人の音世界は微妙に直交しており,大きな孤独に向かって互いを横目でみながら呟き合うようなデュオ。

ボクはデュオってフォーマットがとても好きなのだけど、こんなフリージャズフォーマットをまったり聴くのも悪くないなあ、と思った。

追記:いつだったか村上春樹のエッセーを読んでいたら、六本木で原田依幸に絡まれた話が書いてあった。それ以来,酒癖の悪いオヤジみたいなイメージができてしまったのだけど,実際のトコロはどうなのだろうか。

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鈴木勲・原田依幸:6日のあやめ(オフノート,1997)
鈴木勲(b),原田依幸(p)
アケタの店でのライヴ