清水靖晃 北京の秋 (1983)
1. JUST ONE OF THOSE THINGS
2. NIGHT AND DAY
3. I’M A FOOL TO WANT YOU
4. I’LL REMEMBER APRIL
5. SOPHISTICATED LADY
6. IF I SHOULD LOSE YOU
7. AS TIME GOES BY
8. EVERYTHING HAPPENS TO ME
北京の秋は、蒙古高原から張り出した高気圧の下にあって、抜ける程深く蒼い天蓋に覆われる、というのを何かの本で呼んだ記憶がある。
あの大きな紫禁城も、イメエジのなかでは小さな点景となって、俯瞰されている。
いつか見たナショナル・ジオグラフィックの古い写真、北京の西の果てにある城門から出て行く駱駝の隊列。張家口のほうへ向かい砂塵の彼方へ消えていく。
そんな光景は清朝から民国までのことなのだろう。
ボクがはじめて仕事で行ったときは人民服すら見かけず、人民帽は毛沢東バッチとともに露店の土産物。文化大革命すら遠い過去。もう胡同も消えてしまっている。
その代わりに近代化の証しのように排ガスに覆われていた。肌寒い秋だったのに。 そんなことを想い出すようなタイトルのアルバム「北京の秋」。古い映画を観るような甘い音楽がわざとらしく並べられている。フェイクなムード音楽。そんなことをふっと思いだしながら聴いている。