このCDが録音された時分、結構な回数、仕事でフランスに出かけていた。前職の勤め先がフランスの片田舎に事務所を出していたから。その頃は、その田舎町(と云っても地方の中核都市だけど、金沢みたいな感じ)のHMVに出かけてCDを買うのが楽しみだった。そうやって手にしたアルバムが何枚もある。このアルバムも確かそんな1枚で、ジャケットが綺麗だったので、ジャケ買い。(日本ではサワノが取り扱っていることを後で知った)
もう、それは10年以上前のこと。市場環境の悪化で、その事務所も閉めたし、そもそもの日本でのその仕事も閉めた。随分とその痛みのようなものも、意識の下に潜ったような気がする。たまに疼痛のようなものがあるけど。熱く仕事をした代償。
先日、そのフランスの事務所で働いていたNさんが金沢にやってきた。ボクの今の仕事でお願いすることがあったから。懐かしくもあり、移ろう時間のなかで生きていることを改めて実感した。光陰、というコトバ、光の速さで駆け抜けていく時間。時間の悪戯でポロポロと掌からこぼれたものは、底が見えない深い淵を落ちていき、その淡い軌跡を悄然と見続けることしかできない。そんな感覚で、過ぎてしまった時間というものを感じる。
時間の非可逆性を深く想うとき、その痛み、のようなものが茶色い雲のような風景のなかに気分を叩き込む。親しく、懐かしい知人とゆっくりと話をしながら、そんなパラレルにそんな気分のなかに居たように思う。そんな朝にMompouのピアノ曲を聴いていたら、なんとも遠くで鳴っている夕刻のピアノを聴くような風景が、気持ちに染み入るような感じだった。軽い痛みを伴いながら。
これはMompouの曲
その彼が帰った晩、近所のバーに、やはり懐かしいオトコがやってきた。数年前にそのバーの客で、また手伝いもやっていていたK君。今は欧州で働いている。その数年前の夏、不思議な熱気で毎日のように呑んでいた記憶がある。K君もその点景。
その夏もなんとも懐かしいのだけど、K君と話していると、それもまた暗い淵のなかに落ちてしまって、その気分が帰ってこないことを改めて知り、軽い疼痛が残った。あまり酔えなかった。
マイルス・デイヴィスと共演したフランスのピアノ奏者。死刑台のエレベータのサウンド・トラックで彼を聴くことができる。 。マイルスとの録音や幾つかのピアノ・トリオのアルバムを聴くと、 がしっかりとしたバップの奏者だということが分かる。だけど、このアルバムではジャズとは少しだけ距離がある、何とも優しい音が綴られている。もうお仕舞いに近い年齢なのだけど、彼にとっての時間が人肌に近い温もりを持っている、ようだ。彼の歳になったら、そんな気分になったらいいな、って思った。なんとなく無理なような気もするけどね。
は半世紀以上前に違う曲をアップしたかったのだけど、コレしかなかったから。
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Rene Urtreger: Onirica (2000, Sketch)
1. Ailleurs
2. La Fornarina
3. Chimeric
4. Theme Pour Un Ami
5. Deux Jours De Pernes
6. Facile A Dire
7. Chimeric
8. Gracias Paloma
9. Valsajane
10. Chimeric
11. St Eustache
12. Chimeric
13 . Serena 14 Chimeric