K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(ECM2287) Carla Bley: Trios(2013) ボクにとって永遠のオネーサマ

 昨日は接客だった。木倉町の「六味一滴」で会食。そのあとボクの大大先輩が興に乗って、片町にある綺麗なオネーサマ達がいる高級店へ。ボクタチ技術者世界も丁稚から務める階級世界そのもの。このトシになっても昨夜は下っ端なので、大大先輩の後ろについて、ありがたい丁稚務め。自腹ではイカナイ(イケナイ)店へ。

 ボクは「オネーサマ達が座ってくれる」店がニガテなので行かないのだけど(邪魔くさい)、大大先輩が好みの店はとてもお高い店だけあって、とても行き届いた接客。それはそれで楽しめる。前職のときは、その店の領収書を随分と拝受し、偉そうに処理したものだ。それも今は昔。

 随分と遅くに帰宅したら、届いていたのはカーラ・ブレイの新作。なぜか自身が昔から主宰するWATTでなく、WATTの販売元であるECMから。だからアイヒャーの制作。どんなものだか、と興味津々だったのだけど、すこぶる良い。WATTでのスワローとのデュオにサックスのシェパードが加わった編成。WATTでのデュオよりも、気持ちよさが倍増。

 WATTでのデュオの諸作と比べ、少し浮遊感が増している。全般的に長時間の曲が多く、何回も同じリフが繰り返されていく。微妙に変化しながら、時間を前後に揺らすように、軽やかに流れていく。そして、エキセントリックな感触は影を潜めて、彼女のピアノの可愛さ、が溢れ出る。静かな愉悦が積層していくような感触。カーラを聴くということは、エキセントリックなギミックを楽しむような趣、なのだけど、本来は。だけど、このアルバムはECMのアルバムとして仕上がっていて、彼女のチャーミングな側面がさりげなく晒されている。特に4曲目を何回も何回も聴いた。

 シェパードのサックスも適当な浮遊感であり、絶妙な温度感。熱くならず、さりとて堅く・冷たくならない、ピアノの温度感と抜群に整合している。すっかりシェパードが気に入ってしまった。

 スワローは、って?相変わらず。相変わらずのアクセントで軽い毒を蒔いている。彼だけは、あまりWATTから変わらない感じ。決してスワローがキライじゃないのだけど、今回はカーラとシェパードのデュオとして聴いたような気がする。

 以前、同じメンバーのライヴをネット上で聴いたが、もう少し荒削りで、浮遊感には乏しい感じ。もう少しジャズっぽい感じ。まさにECMとは何か、がよく分かるような対比。アイヒャーの存在感が、あの魔女・カーラ・ブレイにも効くというのは、楽しい発見だった!

 やっぱりカーラはいいな。ボクにとって永遠のオネーサマ、と思った。

 

youtu.be

 

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(ECM2287) Carla Bley: Trios (2013)
1. Utviklingssang 7:55
2. Vashkar 7:22
3. Les Trois Lagons (D'Après Henri Matisse) 14:59
4. Wildlife 11:34
5. The Girl Who Cried Champagne 14:24
Composer: Carla Bley
Carla Bley(p), Steve Swallow (b), Andy Sheppard (ts,ss)
Design: Sascha Kleis
Engineer: Stefano Amerio
Photograph: Caterina di Perri
Producer: Manfred Eicher
Released: 06 Sep 2013
Recorded April 2013
Auditorio Radiotelevisione svizzera, Lugano