K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Paul Bley: Footloose (1962) 離散的な音と音が造る絵は

Paul Bley: Footloose (1962, Savoy)
A1. When Will The Blues Leave (Ornette Coleman)
A2. Floater (Carla Bley)
A3. Turns (Paul Bley)
A4. Around Again (Carla Bley)
B1. Syndrome (Carla Bley)
B2. Cousins (Paul Bley)
B3. King Korn (Carla Bley)
B4. Vashikar (Carla Bley)
Paul Bley(p), Steve Swallow(b), Pete LaRoca(ds)
Released: 1963
Tracks A1, A2 and A4 recorded at Medallion Studios, Newark, NJ, August 17, 1962.

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 SPU MONOでレコードを聴きたくなり、早朝からかけている。

ピアノの音圧もさることながら、ブレイの音の離散化、のようなものが印象に残る。元来、流麗な技巧の奏者なのだけど、垂直的な打鍵でピアノの音響を強調している。そして音と音が点在するような印象。グルーヴしないモンク、とも云える。

その離散的な音と音が造る絵は単色の描画、のようだ。空間に素描だけがポーンと投げかけられたような印象。コールマンの音のある断面を切り取ったような素描。この単色の画の上に、その後のアルバムでは美しく彩色されていく。

さらには、この素描の彩色者にキース・ジャレットも居るように思った。70年代前半のキース・ジャレットのピアノにはコールマンの多大な影響を感じるのだけど、その中継点たるブレイの存在を感じるのだ。だからゴスペルやフォークなど、ブレイには薄い味を重ねたのではないだろうか。

[2016-03-07] 気持ちに異物感を感じさせるような

 最近、Paul Bleyにハマっている。長い間、あまり「合わない」(Steeple Chaseのデュオ2枚くらいかなあ、合うのは)と思っていたのだけど、あの世に行ってから聴いた音、スコぶる良い。聴き手に真っ直ぐあわせてこない、あわせろよ、と言いたげなな距離感、をいつも感じるのだけど、あわせるとクル。かなり引っ張られる。何か、異質感、気持ちに異物感を感じさせるような、ゴツゴツが快感。

 聴いていると、この時期(1960年代)に現代と連続性が強い音楽をやっていたことに気がつき、そして冒頭の曲の作曲者であるオーネットの存在が、所謂(様式としての)フリー・ジャズと異なる形で消化されているのだろうな、と思う。スワローの「アコウスティック」ベースも、ラロッカもうまく同期していて、今の時代につながっていく。オーネット、ブレイ、ジェフリー、ピーコックらの音が、ECMという媒体でコンパイルされたものが現代ジャズの萌芽で、その源流の音を聴いている、のだろうなと思う。

 このアルバムはLPレコードで入手(オリジナルかどうか、わからないが)。その力強い音を愉しんでいる。CDではcomplete savoy recordingというアルバムで出ていて、これもまた素晴らしい。レコードのように、すぐ終わらないことが嬉しい。お薦め。

 

 

Footloose

Footloose

 

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