K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

富樫雅彦, 高柳昌行: Pulsation (1983) レコードを入手した

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昨年の記事で書いたように、やはり富樫と高柳の楽器の響きを聴くアルバムなので、やっとレコードを入手した。確かに打楽器、ギターの音のキレはよい。一方、CDでは無音は静寂であるが、レコードではトレース音の重圧を感じる。要はどっちもどっち。CDで良いと思う。何となく覚悟はしていたが。

これでPaddle Wheelの富樫雅彦のレコードは揃った、と思うところなのだが、最近になって、もう1枚あることを知って愕然としている。下のリストの後に3枚あって、このアルバムの他2枚(多分)、そのうち1枚が未入手。コロンビア盤(DENON)は揃えた、と思っているがどうだろうか?

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[2016-07-28記事] 音響空間のこと

 昨日届いたCD。これの他、数枚、レコード入手の長期戦を決め、CDを入手した。最近の再発CDは音が良く、高価なレコードに固執することもなかろう、という判断。キング・レコードのPaddle Wheel盤のディスク・ユニオン(DIW)からの再発、TBMの再発はそのような気がしている。このアルバムもCDではあるが、本当に素晴らしい音響空間が詰まっていて、再生すると、気分は増上寺のホール、33年前まで飛翔する。

 このようなアルバムを聴いていて、気がつくことは、このような抽象性が高いFree JazzやImprovised musicの聴き方。楽器が放つ音響そのものを受容して、そのような音響空間が内包する美しさ、のようなものを感じる、ということ。富樫の打楽器はその点とても分かりやすく、ただただ美しい鳴動のようなものを放つ。高柳のギターは思惟の極北まで連れて行かれるようなところがあるのだけど、今一度、純粋に音だけを受け止めると、多様な弦の音、打たれたり、弾かれたり、撫でられたり、そのような音が楽器のボディやエレクトロニクスにより強調される、その過程のようなものの中に、はっとするような美しさ、が潜んでいるのである。

 ベイリーの音は微係数である。空間が裂けるときに生じる破裂音を我々に届けている。微係数である以上、動きが止まると無限の沈黙が訪れ、その沈黙との対比が美しい。高柳の音は積分値である。空間を孕ませていくような、次々と音を注ぎ込む様が表されている。だから動きが止まっても無限に続くような音の残響がつくる音響空間が美しい。

 このアルバムは音響空間の缶詰であり、あの世へ渡った二人が創り上げた33年前の増上寺ホールを瑞々しく味わうことができる。かようなアルバムを素晴らしい形で再発したDIWに感謝したい。

追記:お名前をみると、BN再発シリーズのあの方監修、なんですね!

 

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パルセーション PULSATION

パルセーション PULSATION

 

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富樫雅彦, 高柳昌行: Pulsation (1983, Paddle Wheel)
A. Inner Pulsation 22:05
B. Outer Pulsation 22:47
富樫雅彦(perc), 高柳昌行(g)
1983年5月27日 芝・増上寺ホール

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