K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Derek Bailey: Standards(2007) 無調のなかの美

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 ボクのベイリーへの入り口は、2002年のBallads。

 稲毛のCandyで国仲勝男、林栄一、小山彰太を聴いた後に、かかったのがコレ。美しい音に驚いた。

 このアルバムは、このBalladsの流れ、かと思い購入。タイトル、ジャケットがそんな感じ。しかし、ほとんど無調のfree improvisation。驚くことは、そんな無調の音楽であっても美しさ、ということで云えばBalladsと何ら変わらない。美しい。

 ギターという楽器の弦を弾き、その音の変位の微係数を常に揺らし続ける。そして微係数が最小になった箇所では、安らぎを感じさせるような静的な音空間を聴かせ、あるいは微係数が最大になった箇所では音空間が壊れる瞬間の破片が煌めくような快感を与える。

 そのような音をどのように脳内にcodingしていくのか、人工知能では敷延できないような非論理的な処理ではなかろうか。そのようなprocessorを持った高度なギターマシンであったベイリーの最晩年の作品が示す、高み、のようなものを味わえる一枚、だと思う。

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Standards

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Derek Bailey: Standards(2007, Tzadik)
1. Nothing New 8:26
2. Frankly My Dear I Don't Give A Damn 9:36
3. When Your Liver Has Gone 7:33
4. Please Send Me Sweet Chariot 11:00
5. Don't Talk About Me 4:23
6. Pentup Serenade 6:38
7. Head 5:08