この一ヶ月、体調を崩していて、音を意識に当て、その反応を探り、楽しむような遊び、はできなかった。音を意識に当てる、感覚になる前に、感情に刺さって激痛が走るような感じ、だったような気がする。
つい数日前に復旧したと同時に、ある種の「余裕」(メカニカルな意味での遊び、と同じ)ができて、再び音を楽しんでいる。
これはクリスチャン・メアス・スヴェンソンと田中鮎美のNakamaレコードの一枚。ヴァイオリン奏者二人のimprovised music。楽器の極限を追いかけるような様々な音を聴かせる、のだけど、CompanyやICPなどでのimprovised musicの印象とはかなり異なる。何だろうか。ハプニング的な即興性のようなものは影を潜めていて、むしろ美しい、という規範のもと、様々な音を探求し、蒐集するような作業であり、即興性そのものに重みは置いていない、ように聴こえる。むしろ、ある種の作曲行為を感じるものである。だからimprovised musicではない、と云えるようにも思える。
音響的な美しさは素晴らしく、美しいということ、と、音楽と音の境界を探るような取り組みが全く矛盾していないことを示すものだ。聴いていても飽きないし、様々な印象が楽しい。
NakamaやRuwehの音響的な美しさ、の指向にすっかりハマった一年であった。エヴァン・パーカーの音楽にも、同じ指向を感じるのだけど、どうだろうか。
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Jinchūriki: Kyūbi (2016, Nakama Records)
1. Chau Gongs 1:44
2. Ame Hinode 2:27
3. Tabla 1:54
4. Binary Waltz 1:19
5. Hulusheng 0:36
6. Zeppelin 0:31
7. Hulusheng 2 1:00
8. Voksesmerter 2:03
9. Tutup 1:48
10. Liv Der Nede 1:10
11. Pandora 0:57
12. Dawn Of Man 3:41
13. Gleden Over A Være I Sitt Rette Element 1:40
14. Entropi 1:25
15. Mere Voksesmerter 1:45
16. 101 1:50
17. Binary Beats 1:14
18. Inverted Swell 3:50
19. Å Ligne På Andre Ting 0:49
20. Sitarino 1:58
Adrian Løseth Waade, Håkon Aase(vln),
Cover Art: Håkon Aase
Mixing, Mastering: Thomas Hukkelberg
Recording: Jacob Dobewa
Producer: Adrian Løseth Waade, Håkon Aase
Recorded in Propeller Studios, March 2016
Released: Sep 2016