K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

高柳昌行, 阿部薫: 解体的交感 (1970) ディスクユニオンの復刻レコード盤

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まず結論から。かなり復刻盤としては高価であり、購入に躊躇したが、塙監修、を信じて良かったと思う。CDと聴き比べたが、ギターの音の解像度が上がっていて、音の粒度、のようなものが、かなり細かく聴こえる。そして、確かに過剰な音群なのだけど、そこには音の隙間のようなものがあって、そこを流れる2人の間の微かな「交感」のようなものを感じた。CDでは潰れていた、ように思う。

CDでは解像度が落ち、ノイズと音の間のグレーな境界線から、ノイズ側にあるように思う。実はCDは購入したのだが、1枚を聴き通すことはできなかった。辛かった。

復刻レコードでは、高柳のギターにより過剰な情報を含有した音世界ができていて、一音一音を明瞭に送り続けていることが浮かびあがり、音響的な遷移、を楽しむことができた。先日、生で聴いた今井和雄の音、と確かに同じような音への意識・執着、が通底している。

それに、ふっと感じたのは、電気的な処理でコルトレーンやシェップのようなフリーキーな音と同じような効果を狙っている、こと。そのような過剰な高柳の音世界のなかで、阿部薫が闘う、ような構図。音を埋め尽くしていく。阿部薫を聴く、という意味では後年の録音のほうが、彼の管の響きの良さ、を楽しむことができると思う。

レコードでようやく、聴き通すことができた。2回も。勿論、その後は疲れて何も手につかなかったが。技術的には、この復刻盤のアナログマスターをもとにCDをおこせば、ほぼ同等の音響が得られるのではないか。取り組んで欲しいな、と思った。

解体的交感 <LP> [Analog]

解体的交感 [Analog]

 

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高柳昌行, 阿部薫: 解体的交感 (1970)
高柳昌行(g)、阿部薫(as,bcl,harmonica)
1970年6月28日 厚生年金会館小ホール

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高柳昌行, 阿部薫: 解体的交感 (1970)
高柳昌行(g)、阿部薫(as,bcl,harmonica)
1970年6月28日 厚生年金会館小ホール