K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

桑原あい, 石若駿: Dear Family (2017) 「何か」から受けるムズ痒さ、が与える面白さ

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12月に石若駿がドラムを叩く西口カルテットを金沢もっきりやで聴いた。実に引き出しの多い、美しくダイナミックなドラムに驚いた。その後、サボテン食堂で痛飲し、ブログにアップし損なったが。透明度が高く、キレも良く、なのだ。

それから気になって、コレを聴いてみた。まずピアノとドラムのデュオ、という大胆さに驚き。ちょっと面白い音響になっていて楽しい。ピアノとドラムのデュオというと、貧困な記憶の中では、山下洋輔と冨樫雅彦、山下洋輔と森山威男(トリオのなかでのデュオ)、あるいはセシル・テイラーマックス・ローチくらいしか思い出せない。いずれの組み合わせも、伝統的なジャズの「デュオ」の世界を、フリーの語法で語るもの。

このアルバムはそのような意味での「デュオ」では全くない。実に良く作曲された楽曲を聴く感じで、ポップスを聴いて居るような、流れていく感じ。濃密でスムースな作曲能力を感じさせる。だからconversationでは全くない。だから従来の意味でのジャズ的な印象が希薄であり、そこに新しさや面白さ、のようなものを感じる。ピアノもドラムもジャズ的なフレーズは散りばめてあるが、なのだ。

全く音の在り方(アヴァンギャルド、非アヴァンギャルド)は違うのだけど、作曲の比重の高さを使って、ジャズを再構築したような面白さ、という点、で以下の2つの「吉田」アルバムに似た「何か」を感じたのだけど、何だろう。その「何か」から受けるムズ痒さ、のようなものが、今、ジャズを聴く楽しさになっているようにも思えて居る。通勤中に随分と聴いたなあ。

 

Dear Family

Dear Family

 

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桑原あい, 石若駿: Dear Family (2017, Universal)
1. Dear Family -TV Version- (桑原あい, 石若駿)
2. idea for cleanup (石若駿)
3. The Great U’s Train (桑原あい)
4. Improvisation #1 (桑原あい, 石若駿)
5. Family Tree (石若駿)
6. Tuneup (桑原あい)
7. Andy and Pearl Come-Home (石若駿)
8. Granpa’s Sunglass (石若駿)
9. Improvisation #2 (桑原あい, 石若駿)
10. Dog doesn’t eat dog world (桑原あい)
11. Dear Family (桑原あい, 石若駿)
12. Saturday Come Slow (Robert Del Naja, Damon Albarn, Grantley Marshall, Daniel Jonathan Brown, Stewart Neville Jackson)
13. Sunday Morning (Adam Levine, Jesse Royal Carmichael, Ryan Michael Dusick, James Valentine, Michael Allen )
桑原あい (p), 石若駿 (ds, perc)