K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

夢十夜 in cowry coffee (2/12) 雪に閉じ込められた静寂のなか

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連休中も悪天が予想されたのだけど、現時点では厳しくはない。幹線は除雪状況も大丈夫なので、cowryに朗読+チェロとピアノの演奏を聴きに行った。

第一部は、演奏そして朗読の組み合わせを3回。第二部はチェロとピアノの演奏。

全般で云うと雪に閉じ込められた静寂のなかで、まったく電気的な増幅を行わない声・楽器が、cowryの木造のアコウスティックな環境に染みこむような森閑、を愉しんだ2時間だった。

いずれ昭和がはじまって100年。明治帝の御代は遠くに去り、歴史のなかに吸い込まれている。しかし子供の頃、半世紀ほど前は案外身近で、今のボクと同じ世代は明治生まれだったのだ。祖父が日露戦争の頃のことを語っていた、朧気な記憶もある。そんな時代の夏目漱石の小説・夢十夜のうち、3つの掌編が青木栄美子さんによって朗読された。驚くほど現代的な心象を、夢に仮託し描く、その儚い美しさに驚いた。明治末期とは云え、この時点で現代の日本語表現が確立していたんだと驚き(明治期の小説は学校を出てから読んでいないので、モノ知らず)。近しく、そして遠い時代への不思議な感覚。それを聴覚から認識することの新鮮さ。面白かった。

演奏についてはお馴染みで、富田祥さんと浅井隆宏さんのデュオ。身近で聴く楽器の響きはとてもよく、ホールで聴くより、音響的な聴き方ができたように思う。彼らにしては新しい時代の曲もやったのだけど(cowryの門脇君のリクエストで)、彼ら得意分野となると楽器の響きがグッと素晴らしくなったのには驚いた。

この二人、3/6に金沢アートホールで演奏。是非!

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