K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Vladimir Sofronitsky: A. Scriabin/Preludes (1964) 名盤と云われるが

[追記] 一晩経ってから聴き直すと、cowryの美音の呪縛が解け、我が部屋でも美音が楽しめる。全く異なる種類の音。勿論、PCとyoutubeでも音楽は楽しめるし、ボクも楽しんでいる。だけど全く違う次元で、戦慄を覚えるような音空間への扉があるということ。重い雲のもと、ロシアのピアニズムに浸るには素晴らしい季節になってきたなあ、と思う。

---------------------------------------

 もう5年前のこと、M嬢のご指南でクラシックを聴きはじめて、早々にハマったのがスクリャービンホロヴィッツスクリャービン集には結構引っ張られた。その後はヴェデルニコフの深淵をのぞき込むような演奏に震撼、させられた。気持ちが揺さぶられた。魔力的な力が強い。

 スクリャービンといえば、スクリャービンの娘婿であるソフロニツキーの演奏が定番、らしいのだけど、入手もしたのだけど、なんとなく惹かれるものがなかった、名盤と云われるが。

 そんな訳でCDを何枚か入手したが、ほとんど聴いていなかった。とは云え、気になってはいたのだけど。

 バンコクから帰ったら、東京のSさん、上田のM君と山仲間が遊びに来ていた。彼らと一緒に山に登った寺町のE嬢も含めた4人でcowry coffeeに出かけた。金沢の観光案内、である。そのとき持参したのは、先週、リトアニアから届いた本盤。やはり気になっていたので、レコードを1枚注文していたのだ。

 cowryの真空管フォノアンプとタンノイ・スピーカの組み合わせは素晴らしい。アコウスティックな空間の響き、に魅了されている。ここで旧ソ連のメロディア盤をかけると、ピアノが忠実に眼前に浮かぶ。素晴らしい。ソフロニツキーのピアノの響き、とても奥行きがあり、倍音のような余韻が鋭く、美しい。今まで聴いてきた音、と別世界。創られていない音、の美しさ。その奥行きがそのままスクリャービンのピアノ・ソナタの魔術的な造作の空間となり、目眩を起こすような暗がりのなかに感情が惹き込まれる。独り、で聴かなくてよかった、そして聴きたくない、くらい。

 門脇君と何でこんなにソ連のレコードって凄いのか、って話をしていたのだけど、つい、ダメな技師はシベリア流刑だったから、じゃないの、は悪い冗談。スミマセンでした。

-------------------------------------------------------------------

Vladimir Sofronitsky: A. Scriabin/Preludes (1964, Melodia)
A. Scriabin Preludes
A1. Op. 13 No. 1
A2. Op. 11 No. 2
A3. Op. 13 No. 3
A4. Op. 11 No. 5
A5. Op. 15 No. 1
A6. Op. 11 No. 9
A7. Op. 22 No. 2
A8. Op. 22 No. 3
A9. Op. 16 No. 2
A10. Op. 16 No. 3
A11. Op. 16 No. 4
A12. Op. 11 No. 15
A13. Op. 11 No. 16
A14. Op. 11 No. 21
A15. Op.11 No. 22
A16. Op. 11 No. 24
B. Scriabin Piano Pieces
B1. Poème, Op. 52 No. 1
B2. Poème, Op. 59 No. 1
B3. Poème Ailé, Op. 51 No. 3
B4. Tourment Poème, Op. 52 No. 3
B5. Poème Satanique, Op. 36 No. 3
B6. Sonata No. 9, Op. 68
B7. Fragilité, Op. 51 No. 1
B8. Feuillet D'Album, Op. 45, No. 1
B9. Mazurka, Op. 25 No. 3
B10. Etude, Op. 42 No. 5
Vladimir Sofronitsky(p)
Live Recordings. February 1960