K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

齋藤成也:核DNA解析でたどる 日本人の源流 (2017)

核DNA解析でたどる 日本人の源流

核DNA解析でたどる 日本人の源流

 

メモ

(1)二重構造モデル(縄文人と渡来人)が核DNA解析から断定されているだけでなく、その縄文人集団(はじめて日本にやってきた3.8万年の渡来人)が、南方起源とか北方起源で捉えきれない、早い段階から分岐した集団である。

(2)日本に住む集団をヤポネシアという島尾敏雄が唱えた概念で括ったことが面白い。

(3)ヤマトに住む現代人のDNAにおいて、渡来系の「濃さ」が80%程度。思っていた以上に縄文が薄い。考古学本で云われる縄文から弥生への連続性との兼ね合いはどうなのだろうか。

(4)アイヌ人は縄文人の後裔であり、そこに北方民族が混じっている。オキナワ人もは縄文人の後裔であるが、アイヌ人ほどは濃くない。考古学的には九州から沖縄への人の流れが云われるが、それが関係するのだろうか。

(5)新鮮なのは渡来人系の「内なる二重構造」。縄文後期と弥生の二つの時代の波があるという。だから天津神(伊勢神宮)と国津神(出雲大社)の構造は、縄文人と渡来人の反映でなく、異なる渡来人の反映ではないか。

(6)「内なる二重構造」のなかで、47都道府県でのミトコンドリアDNAの分析結果が衝撃的。沖縄が特異点なのは二重構造モデルから自明であるが、島根、鳥取、福井が特異点でさらに熊本や山形が続く。渡来人系の「内なる二重構造」の傍証。島根、福井の東北弁との共通性にも通じる話。

 

核DNA解析により、解析の粒度があがり、細かな議論がみえはじめている。日本語の成り立ちが、古代中国語のクレオール化であるという説の傍証でもあるように思えた内容であった。面白かった。