K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Lee Konitz: Unaccompanied Live In Yokohama (1996) 饒舌な静謐さ、そして今井和雄

Lee Konitz: Unaccompanied Live In Yokohama (1996, P.S.F. Records)
1. The Nearness Of You 18:09
2. Thingin' 5:34
3. Darn That Dream 4:52
4. Play Fiddle Play-Kary's Trance 7:59
5. Subconcious-Lee 5:08
6. Duo Improvisations For Alto Saxophone And Acoustic Guitar 10:30
7. Duo Improvisations For Alto Saxophone And Electric Guitar 8:02
Lee Konitz(as), 今井和雄 (g on 6, 7)
Recorded live at ST Spot, Yokohama on October 24 1996.
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随分前から、このアルバムを知ったが、それなりの価格では入手困難。ようやくスペインの業者から「CD価格+アルファ」で出たので注文したのは2ヶ月前。当然、コロナウィルスによるトラフィック途絶で、出荷待ってね連絡。お互いの健康を祈念、という流れ。昨日、それがようやく到着。日本から出て行ったCD帰還の顛末。その間、コニッツがこの夜を去った。

このアルバムが欲しかったのは今井和雄との共演、だったからだ。入手可能な音源が限られているから。またbloodでのコニッツ曲の演奏もあったし、何より高柳昌行晩年のcool jazzの取り組みを考えると、興味津々。

最初の5曲はコニッツのソロ。そこでまず、その不思議で饒舌な静謐さにヤラれた。曲はあるが、もう曲そのものが緩く解けていて、解体というよりは融解したような感じ。流れるような、という流麗さはないが、そんな流麗さよりも速い流れがゆっくりと続く。音の艶がよいのか。様式的なFree Jazzでは全くないが、それ以上に何ら制約のないFreeを感じさせる音で、中毒性があるソロだった。

そして今井和雄が加わる。ソロの静謐な部分に奥行きを与えるような演奏。これもコニッツの音空間を最大限尊重した、あたかも空間の残響のような音を付加している。あるいは、光と影のような。次第にその淡い交わりが重なり、溶けたり、新たな波紋を造ったり。まさにソロでの饒舌な静謐さを増感したような音の流れ。演奏後の余韻が実に素晴らしいものだった。しっかりと波紋が意識に染み渡る感じだった。