K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Bill EvansのVillage Vanguard sessionsについて

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先日、入手したビル・エヴァンスのThe complete riverside sessions(独CD)を順々に聴いている。 セロニアス・モンクの同CD/LPもそうだけど、間違いなく彼らのRiverside期のアルバムとして、録音は最も良いのではないか。LPはオリジナルに肉薄し、CDは部分的に越えている印象がある。媒体としてのCDの性能の高さを素直に感じさせる。全く同時期(1980年代中盤から後半)のOJC盤でのLP/CDも同質の音。だからこそ媒体として優れたCDの良さを感じさせる。

同時に、じゃあThe complete riverside sessionsの全てが良い、と云っている訳ではない。エヴァンスの初期のアルバムの録音(Digsあたりまで)は、そもそもが今一つなので、比較して聴く元気が出ない。それがヴィレッジ・ヴァンガードの録音では、それまでの機材の澱のようなものが流れ、実に明瞭で美しい音に変貌する。その違いに驚く。このCDで聴く音はモノラル盤とは少し違うジャンルでのHiFiであり、言い換えると「現代的な音」。60年という時間を越えて、そう感じさせられる驚き。

モンクも同様で、初期のRVGの古風で典雅とも云え無くもない録音はオリジナルで聴けば良いのだけど、サン・フランシスコでの録音の美しさ、それはCDでしか楽しめないような気がする。ともにECMにどこか通じるような、あの音空間。

勿論、あの膨大な録音を通して聴けている訳ではない。古いレコード盤の外にも豊穣な音の世界があることを知った、という驚きが、これらを聴くなかで沸いてきた。楽しいなあ。