K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(ECM2675) 田中鮎美: Subaqueous Silence (2019) 最小限の音の数で空間を専有していく、そのゆったりとした構築に

Subaqueous Silence

(ECM2675) 田中鮎美: Subaqueous Silence (2019)
1 . Ruins(Ayumi Tanaka) 6:39
2 . Black Rain(Ayumi Tanaka) 4:52
3 . Ruins II(Ayumi Tanaka) 2:42
4 . Ichi(Tanaka, Svendsen, Johansen) 3:35
5 . Zephyr(Tanaka, Johansen) 3:04
6 . Towards The Sea(Tanaka, Svendsen, Johansen) 4:14
7 . Subaqueous Silence(Ayumi Tanaka) 9:25
田中鮎美(p), Christian Meaas Svendsen(b), Per Oddvar Johansen(ds)
Design: Sascha Kleis
Engineer [Recording]: Daniel Wold, Ingar Hunskaar
Mastered By [Mastering]: Stefano Amerio
Producer: Manfred Eicher
Released: Oct 29, 2021
Recorded June 2019, Nasjonal Jazzscene Victoria, Oslo

https://www.ecmrecords.com/shop/1626247010

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トーマス・ストレーネンのアルバムへの参加に続き、ECMから田中鮎美自身のアルバムがリリースされた:

田中鮎美のライヴを2回聴いている、金沢もっきりやで。大沢さんのアレンジ。特に2回めのNakamaでのimprovisationはとても面白く、楽器の響きの良さ、とともに記憶に残っている:

このアルバムは彼らの自身のレーベルNakamaでの奔放な演奏、と比較すると実に抑制的であり、そこが実にECM的な音であるのだけど、Nakamaでの外向的なVectorが反転したような印象、をもった。

最小限の音の数で空間を専有していく、そのゆったりとした構築に気持ちを寄せていくと、それが陰影と化し、ふっと消えていく。そんな無言劇を曲数だけ繰り返していく。儚い音に思いの外惹き込まれていることに、はっと気付く、全てが終わった無言の中で。

生で聴くヨハンセンの音はとても美しかったのだけど、ECMというパッケージの中で聴くのもいいな、と思える。良いアルバムだなあ。