K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Michelangeli : The last recital

Michelangeli : The last recital (Memoria ABM)
CD1:
1. Children's corner
2. Images I & II
CD2:
1. Prelude 1st Book
2. Children's corner (sound modified version)
1993年5月7日 Hamburg

先日の御茶ノ水ディスクユニオンでの猟盤で買った一枚。 The last recitalと書かれているが、1995年6月逝去までの本当の The last recitaかは知る由もない。実は中古棚から良く確認せずに、ライヴ録音のドビュシーということで買ってきた。 Memoriaというレーベルはミケランジェリのヴァティカン録音などのライヴ音源を出しているので、ホコホコと手にしたのだ。まさかマイクに衣服が擦れる音が入っているとは!

聴いてみて驚いた。このMemoriaから出ているミケランジェリの音源の大半は放送音源かと思うが、このCDは客席録音。ジャズの世界の海賊盤(所謂Bootleg)は進化していて、放送音源や客席録音から最近はサウンドボード録音やマスターテープ未編集流出までアリの世界。だから客席録音の音源は久方振りに聴いた。まさかクラシックでそんな怪しげなモノが出回っているとは思わなかった。

マイクに衣服が擦れる音,演奏中の咳払い、拍手が実に鮮明に捉えられている、という困ったCD。時期からしても、カセットテープでの収録(ウオークマンだろうな)なので、音域は狭く、音が籠もっている。苦笑いしながら聴くしかなかった。早くもマニアものに引っかかってしまった。

しかし、コンサートホールで聴衆に交じって聴く感覚は必ずしも悪くない。もう経験できないことなのだから。聴いていてはっきり分かったことは、このHamburgのホールに天蓋から降ってきたような軽やかな不思議なトーンが響いていた、という仄かな実感。Children's corner−the little Sheperdの冒頭とか、端々に実感できる瞬間がある。これを中古盤1500円くらいで体験できたのだから、音質の悪さや咳払いは仕方がないかなあ、と思うことにした。(Miles Davisの1991年パリコンサートの海賊盤Black Devilも客席録音だけど、音質はずっと上。客席の臨場感が楽しい一枚。)

馬鹿買いをしていると、本格マニア向けに引っかかってしまうという好例になってしまった。ちゃんと基本的なコレクションもないのにね。困ったことだ。

それにしても、このMemoriaというレーベルは何者なんだろうか。結構、ガイドブックの選盤にも入っているし。著作権の処理がされているとは、とても思えないけど。