K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

京都・寺町二条「三月書房」書籍のミクロ・コスモス


 先週末は鴨川で河床の同窓会。少し早く出かけて、寺町沿いに古書店レコード屋を見て歩いた。かつて通っていた学校から寺町通りを南下し、三条から河原町に抜ける道すがら、本とかレコードを随分と買ったものだ。そんな30年以上前を反芻する時間。

 30年前と比べると随分と賑やかになったような気がする。人通りも少なくない。ボクの記憶の中では人通りはあまりなく、時間の中で過去に押しやられたような寂しさが好きで歩いていたのだけど。そんな違和感も悪くない。楽しい。今は昔。

 そんな前から知っている積もりの寺町通りだけど、はじめて入った本屋が寺町二条の三月書房。古い町屋で外からは雑誌がちらと見えるだけ。冴えない感じで、古書店と間違えて入った。新刊の本屋と気がついて、出ようと思ったが、すぐに尋常ならざる棚に気がついた。ジャズ本の洪水。ジャズ批評のバックナンバーまで。振り返ると演劇本。小さな本屋なので、全く網羅的な品揃えではなくて、幾つかの領域で異常な深さで本が集められている。昨日読了した岡茂雄の本に出てきて気になったニコライ・ネフスキーの評伝(加藤九祚:天の蛇 ニコライ・ネフスキーの生涯)まで置いてあってタマげた。それにアナキズム関係の「怪しげな本」もしっかり。その系統のなかに「辻まこと」の本もしっかり並べられていて、これまたタマげた。

 まさか新刊の本屋で1時間近く沈殿するとは思わなかった。書籍のミクロ・コスモス、のなかに放り出された。

 調べると、ボクが歩いていた頃から既に営業していた本屋らしい。改めて不明を恥じるとともに、「見えるべきモノが見えない性格」であることを再確認した。やれやれ。

 いろいろ欲しい本があって困ったのだけど、折角アナキストコーナーがある本屋さんなので、今は亡き竹中労アナキスト本(筑摩文庫の断章・大杉栄も竹中の思い入れタップリで滅法面白いが)を購入。「かわぐちかいじ」が作画を担当した「黒旗水滸伝」。これも彼が思想的な人間じゃなくて、情念あるいは浪漫のヒトだなって良く分かる面白い本。大正期のアナキストを扱っている。思想性よりもむしろ人間のエネルギーが面白い感じの本。全4巻。重かった。

 今度はゆっくり行ってみたいと思う。

お店の辛口なブログ(書店の下記紹介に「いけず」と書かれていたが、そう)

グレゴリ青山の紹介記事

追記:鎌倉駅西口の「たらば書房」も同じ感じの本屋だったのだけど、まだ健在なのだろうか。