K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Bill Evans: We Will Meet Again (1979) これもまた西独盤で

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Bill Evans: We Will Meet Again (Warner Bros. Records)
A1. Comrade Conrad(Bill Evans) 10:03
A2. Laurie(Bill Evans) 8:18
A3. Bill's Hit Tune(Bill Evans) 10:48
A4. For All We Know (We May Never Meet Again)(J. Fred Coots, Sam Lewis) 3:39
B1. Five(Bill Evans) 9:09
B2. Only Child(Bill Evans) 10:45
B3. Peri's Scope(Bill Evans) 6:10
B4. We Will Meet Again(Bill Evans) 2:33
Bill Evans(p), Larry Schneider(ts,ss), Tom Harrell(tp), Marc Johnson (b), Joe LaBarbera(ds)
Recorded by, Mixed by Frank Laico
Mastered by Stew Romaine
Producer : Helen Keane
Recorded at Columbia Studios, 30th Street, New York City on August 6-9, 1979
Mastered onthe CBS DIS Computer System, Columbia Studios, New York City

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既に聴いたアルバムのプレスを違えて聴き直す。音楽の印象は大きくは変わらない。そりゃPCのスピーカで聴いても、脳内変換で音のFrameworkは愉しめるのだから。実に緩慢な遊びだ。

だけど、こんな感じが今の気分に合う。些細な音の違い、でFrameworkの上に施された細部での彩色の印象が随分と異なる。その違いが、案外記憶の中では大きく増幅される。認知と記憶の大いなる歪み、のようなものが面白い。

ECMあたりではじまって、Pabloなんかで米盤、西独盤、日本盤の音の違いは体感しているのだけど、ルネ氏のブログで教えてもらったビル・エヴァンスの西独プレスのワーナー盤、これは面白かった。まさに細部の音の美しさ、精緻さが西独盤で、エヴァンスの特性との相性が良い。そんな訳で大いに愉しんだ。感謝。

さて、この盤も西独盤を入手してみた。米盤では管と一緒のときに若干ピアノがオフ気味で金属音的に鳴っているような感じ。西独盤では、ピアノの響きが実に美しいし、煌めきがある。しかし前掲の2枚ほど顕著な差異がある、程ではない。やはり管が全面に出ているからだ。

それでもソロでのピアノは実に美しく、十分な価値があるように思える。過度ではない自然な残響。ニュー・ヨークの30th Streetのコロンビア・スタジオ。教会を改造したスタジオの最終期の録音。このセッションの20年前にKind of Blueが吹き込まれている。

少し残念なのは管が前に出すぎる編曲、と同時に管の使い方の統一性がないこと。ハンコックのSpeak like a childのようなピアノトリオ+背景のホーン、のような使い方だったら良かったな。結局、エヴァンスのピアノを多面的に愉しみたいだけなんだから。

プレスのことなんか忘れて、こんなことを考えていた。 

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ウィ・ウィル・ミート・アゲイン

ウィ・ウィル・ミート・アゲイン

 

 

[2013-08-30] トリオじゃなくても

今週、届いたビル・エヴァンスのLPレコードのなかの1枚。複数枚、あるいということです。一時の勢いは抑えて、今はビル・エヴァンスとかエリック・ドルフィーのオリジナル(に近い)LPレコードを求めている。

「**を聴け」の御大も指摘していたが、ビル・エヴァンスはトリオという固定観念があるように思う。ボクの場合、34年前、1979年頃のジャズ番組(多分、油井正一アスペクト・イン・ジャズ)でエア・チェック(今の人、わかるかな)したなかに、Affinityの冒頭の曲が入っていた。シールマンスのハーモニカが入っている最晩年の1枚。すぐアルバムを購入した。だからトリオが入り口じゃないのだけど、30年以上聴いていると、やはり何となくトリオがいいなあ、という感じになっている。

だから、このアルバムもCDで持ってなく、今更ながらのLPレコードの入手だったのだけど、なかなかよい。何がいいのか、管2本がビル・エヴァンスと化して、紛れもないビル・エヴァンスの音楽を全員で奏でているから。ジャズ・ピアノ奏者のアルバムでは、サックス奏者のソロで何となく音場の空気が変わることが気になって、結果的に、ソロ・デュオ・トリオくらいのアルバムが多くなっている。だから、このアルバムでの「管のビル・エヴァンス」の趣に嬉しくなってしまう。ついでに云うと、所々出てくる電気ピアノの音も1970年代のビル・エヴァンスらしい、軽い憂いを帯びたような調子が気に入っている。

月曜の夜に届いて今日で4日目。何回ターン・テーブルを回したことか。楽しい。そんなアルバムが発表当時はほとんど光が当たっていなかった、エヴァンスが過去の人となっていたのは今でも理解に苦しむことなのだ。