音響装置に灯を入れて、1時間ほどで音が拓きはじめる。音響空間のなかで、楽器や奏者の定位が定まる。そこで明瞭に知ったのは、ライヒ の「18人の音楽家のための音楽」からのエコーのようなもの。打楽器が打ち続けるタイミング、バス・クラリネットが演じる通奏低音。勿論、ミニマル自体が、なのだけど、強いライヒへのrespectがベルチェのMobileへの考え方、だと思った。朝から、目眩がするほど聴いてしまった。よかった。
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[2016-11-22朝] これもレコードで聴く
これもレコードで聴く。音の密度、のようなものが違って、グルーヴ感が前面に出る時間、アコウスティックな音が前面に出る時間の切り替わりの瞬間が気持ちよい。レコードの特性、音が前面に出てきて。それが強いグルーヴを生み出している。
必ずしも残響に頼らない音空間の奥行きが出来ているように思えるのだけど、どうだろうか。何枚か聴いていて、微妙なレヴェルで過剰か否か、分かれているように思える。エレクトロニクス的な要素が入ったアルバムほどイケているように思える。
[2016-08-12記事] グループ名は違えど
ニック・ベルチェの新譜。購入は比較的早かったのだけど、記事のアップは随分遅れた。
CD/レコ−ド購入の歯止めのため、聴いて・記事にするというルーチンを設けているのだけど、あまり守れていない。購入のピッチが荒っぽいことと、書けないことが多いこと、による。
これは、なかなか書き辛いアルバム。肯定的な面と否定的な面が交叉して、全体としての印象が固まり難い。
肯定的な面はニック・ベルチェの変わらぬ音空間、ミニマルを基本にした浮遊感、そこに軽やかな躍動、が加わっている。彼のもう一つのグループRoninと殆ど作曲意図のようなものは変わっていなくて、上に乗っかる楽器が、弦楽器主体となっていて、アコウスティックな音響空間を作っている。その部分が電子楽器主体のRoninからの変化分だ。相変わらず、気味の良い揺動のようなものを感じながら、仕事場で流している。
じゃあ何が否定的なのか。グループ名は違えど、どれ聴いても同じじゃないか、って感覚。編成を変えてアコウスティックにしても、基底は同じだから、見事同じに聴こえる。なんとなくマンネリ、に感じて仕方がない。そろそろ飽きてきたのだ。じゃあ、他の奏者はどうなのよ、って、この感覚をいろいろ他と比較してみたのだけど、何とも結論は出ない。
結局のところ結論なく、今日を迎えているのだけど、ミニマルで柔らかいファンクって、その賞味期限がきているような気がするのは確か。ただし、このアルバムが2〜3枚目の人は大丈夫。とても良いアルバム、だと思う。
参考記事:
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(ECM2464) Nik Bärtsch's Mobile: Continuum (2015)
1. Modul 29_14 8:59
2. Modul 12 9:02
3. Modul 18 8:03
4. Modul 5 8:32
5. Modul 60 9:27
6. Modul 4 5:26
7. Modul 44 10:23
8. Modul 8_11 8:32
Composer: Nik Bärtsch, arrange: Mobile
Nik Bärtsch(p), David Schnee(viola), Etienne Abelin, Ola Sendecki(vln), Sha (b-cl, contrabass-cl), Ambrosius Huber, Solme Hong (cello), Nicolas Stocker, Kaspar Rast (perc, ds)
Design: Sascha Kleis
Engineer: Stefano Amerio
Photograph: Max Franosch
Photograp[Liner Photo (Page 4/5)]: Dániel Vass
Photograph [Liner Photos] : Martin Moell
Producer: Manfred Eicher
Released: 04 Mar 2016
Recorded March 2015
Auditorio Stelio Molo RSI, Lugano