勢いに乗って、Koan、Alloyに続きソーリーのアルバムをさらに聴く:
勢いでダウンロードし、最初に聴いたときは「何だこりゃ」と思った。ジャズではなくて、現代音楽じゃん、って。かなり好みなんだけど。聴いてから読んだ、Joe氏のコメントそのもの:
で何回か聴くうちに強く感じたのは、現代音楽とジャズの垣根は何だろうか、ということ。このアルバムで、ソーリーの打楽器が入ると、かなりジャズに近い音色になる。弦楽やピアノを聴いていると、時としてFree improvisationのような音を出しているが、ジャズ色は感じない。だけど、その違いは淡いもので、ジャズとも現代音楽とも云える音が出来上がっている、のではないか。そして、それはフュージョンという(1+1)/2のようなものではなく、なにか違う次元の音を聴いているような不思議な感覚の中にある。作曲行為として、曲を丹念に作り込んで行った結果として、辿り着いた高み、ではないか。
作曲行為のなかでの即興の意味、なんかも含め、そもそもジャズって何なのさ、と深く(考える力もないのに)考えたくなるようなアルバム。富樫雅彦が間違いなく指向していたが、力量のあるジャズ奏者の矜持のためか、振り切ることができなかったジャズの重力圏から脱出しようとする音がここにある。それがジャズに対するアンチ・テーゼでない、美に対する進化形のように感じる。正直、恐れ入った。
The Inner Spectrum of Variable
- アーティスト: Tyshawn Sorey
- 出版社/メーカー: Pi Recordings
- 発売日: 2016/06/03
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (1件) を見る
------------------------------------------------------
Tyshawn Sorey: The Inner Spectrum of Variables (2016, Pi recordings)
1. Movement I (Introduction) 03:11
2. Movement II 21:51
3. Movement III 32:53
4. Reverie 15:07
5. Movement IV 20:14
6. Movement V + VI + Reprise 23:20
Composed By, Conductor, Drums, Producer – Tyshawn Sorey(Composer, ds), Christopher Tordini(contrabass), Cory Smythe(p), Kyle Armbrust(viola), Chern Hwei Fung(vln), Rubin Kodheli(violoncello)