最近は金沢での暮らしに慣れてしまって、引っ越してきたときのような驚きを求めて、空や月をずっと眺めていたりすることもなくなった。当たり前のように、陰翳の強い空があって、明度が高く大きな月がある。そして、季節ごとに当たり前のように表情を変える。横目で眺め、昨年と同じだな、と思う。そんな日常。意識が外ではなく、とても内向している。
それでも、今、この瞬間の印象は大きい、ように思える。つい数日前まで、半袖で汗をかいていたのに、昨夜は長袖に上着を着て、歩いていたら、すっかり体が冷えてしまった。そして、下弦の月なのに、やけに明るく、犀川沿いに歩いていたら街灯が途切れる法島のあたりが明るかった。
いつものように薄暗い中目覚めるが、もう一度、瞼を閉じる。夜が明けていたが暗い、ように思えた。東の空から光りが射し込む程、南の山並みそして雲の影が際立つように思えた。そんな光景をみながら、少し憂鬱な感触を楽しんでいる。窓を開けると、冬の匂い、がした。
