間違いなく、ボクの好みの中心、の音だ。原田のピアノは粒状に音が立ち、スピードをあげても濁らない。そしてホンジンガーのチェロと作用・反作用を繰り返しながら、様々な速さの音を溢れさせる。そして音の速さの変曲点のようなところで、音が弾けて、美しい破片のようなものが飛び散る。
亡きミシャ・メンゲルベルクとともに、モンクのピアノと同じ心象を造り出すのだ。音響的に優れた奏者、という意味で。
鈴木勲との「6日のあやめ」もそうだが、素晴らしい弦との協奏に溜息がでるような時間を過ごした。
追記:ジャケットは竹中英太郎。竹中労の父。この親子の濃さ、はすごいなあ。
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原田依幸, Tristan Honsinger: Margin (2006, Off Note)
(CD)
1. Everywhere
2. Nowhere
(DVD)
1. Erehwyeve
2. Erewhon
原田依幸(p), Tristan Honsinger (cello)
Recorded at Ogikubo Community Center, Tokyo, October 2006.
絵: 竹中英太郎