最近はLPレコードに気持ちが行っているので、気がつかなかった。オープンリールで発売されたアルバムからの復刻だそうで、音が極めてよい。デッドな録音ではあるが、サックスが中村誠一から坂田明へ交代した第二期トリオの最初期の収録となる。同年には、インスピレーション&パワー14 フリー・ジャズ大祭に出演し、演奏がレコードに収録されている(あとはブートのようなデンスケ録音盤もあるようだ。富樫・佐藤のカリオスもそうだったが、音もブート並のようだ)。1973年の長尺のスタジオ録音はこれだけ。
第二期トリオを聴くと、やはり森山威男の細かな波動に鼓舞されるピアノに耳がいく。これもそうだ。ミナのセカンドテーマでのデュオパートは美しくドライヴしている。
新加入の坂田明も鋭く、冒頭からのエネルギーに圧倒される。こんなアルバムが発掘されるとは思わなかった。CDとしての仕上がりも良く、近年の新録音に近いレンジ。いや、大満足。大きな装置で、大音量で堪能すべきアルバム。
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山下洋輔トリオ(1973, DU)
1.ズーボ
2.ミナのセカンドテーマ
3.ミトコンドリア
山下洋輔(p), 坂田明(as), 森山威男(ds)