K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Jim O'Rourke: Corona: 武満徹/Tokyo Realization (2006) 武満の音であり、オルークの音でもある、という不思議な心象

Jim O'Rourke: Corona: 武満徹/Tokyo Realization (2006, Columbia Music Entertainment)
1. Corona for pianitst(s), Tokyo Realization 1 26:19
2. Corona for pianitst(s), Tokyo Realization 2 25:05
Jim O'Rourke(p, Hammond org, Fender Rhodes)
Recorded by Takashi Sasaki, Takashi Sasaki
Engineer [Assistant]: Fumikazu Saitoh, Motohiro Noguchi
Mastered by Hiroyuki Hosaka
Executive-Producer:Hiroshi Ajimoto
Producer: Jim O'Rourke
Recorded and mixed at Sony Music Studios, Tokyo, July 11, 2006.
Mastered at H2 Mastering, Tokyo, July 20, 2006.
-----------------------------------------------------------

ジム・オルークによる武満曲のアルバムの存在を知って、即、注文。今朝から聴いているが、武満的な音の空間とオルークの音が交叉した、いや、武満の音であり、オルークの音でもある、という不思議な心象を与えられた。

ここまで書いて、discogsのクレジットを見るとギターを弾いていない。鍵盤楽器のみ、なのだ。あれっと思って、滅多に読まない解説を開くと(日本盤なので)、これは武満徹と杉浦康平による美しい図形楽譜によるものだという。そして曲名の通り、ピアノ曲ではなくて、ピアニスト(達)への曲、つまりピアノ奏者との共作を意図しているという。オルークと武満の音が渾然と一体である印象、うまく仕上がった作品なのだろう。ローズで聴く武満世界?オルーク世界?は美味しい。

楽譜に何処まで何が記載されているかは分からないが、オルーク的な音が鍵盤楽器(ピアノ、ハモンド・オルガン、フェンダー・ローズ)の多重録音でつくられていて、また摩擦音のような雑音、あるいは歪みのようなものが、かなり広大な音響空間のなかに飛散している。疎に点在する音の強度(音量ではない)が強く、打音が如く響き渡る。

素晴らしい音体験であった。

初演は高橋悠治と一柳慧で1962年。どんな演奏だったのだろうか。

コロナ-東京リアリゼーション

コロナ-東京リアリゼーション