高橋悠治: 武満徹/ Miniatur III Art Of Toru Takemitsu (1972-73, Deutsche Grammophon)
A1. For Away
A2. Uninterrupted Rests I
A3. Uninterrupted Rests II
A4. Uninterrupted Rests III
A5. Piano Distance
B. Corona
高橋悠治(p)
1973年4月(A), 1972年11月(B)
東京,ポリドール・スタジオ
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CDで最近入手し、さらにDGのレコード盤があると知り、即入手。西独盤という思い込みがあったのだ。なんのことはなくて日本ポリドール盤。西独盤はそもそもなかったようだ。
それはともかく、聴きたいピアノの音そのもの、で伝統的な調性の外にある美音が詰まっている。クラシックの奏者のカチっとした音そのものが、意図のない揺らぎや曖昧さを排しているため、音と音の間の空間を広げ、そこにある光を強めたり、闇を深めたりする効果を強めている。このような曲調には、このような奏者の音がいいな、の典型例だと思う。
ジャズ系の奏者の現代音楽「風」の演奏に対し、時として強く気になるのは、このあたりの感覚だと思う。
素晴らしい美音に浸っていると、日本盤か西独盤か、レコードかCDか、ハイレゾかどうか、なんて本当に些細なことだと思える。ごくごく当たり前のことなんだけど、些細なことの罠にかかっていることに気がついてしまう。(溜息)