K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(ECM2373) Paul Bley:PLAY BLUE - Oslo Concert (2008) ECMの美音は紙一重なんだけど

(ECM2373) Paul Bley:Play Blue - Oslo Concert (2008)
1. Far North (Paul Bley) 17:06
2. Way Down South Suite (Paul Bley) 15:24
3. Flame (Paul Bley) 7:43
4. Longer (Paul Bley) 10:22
5. Pent-Up House (Sonny Rollins) 6:12
Paul Bley(p)
Design: Sascha Kleis
Engineer [Recording]: Jan Erik Kongshaug
Mixed by Jan Erik Kongshaug, Manfred Eicher
Producer: Manfred Eicher
Recorded live August 2008
at Kulturkirken Jakob,
Oslo Jazz Festival

https://www.ecmrecords.com/catalogue/143038752881/play-blue-oslo-concert-paul-bley
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音楽をゆっくり聴く時間がなかなかとれない。久しぶりに、と思うと、やはりブレイを聴きたい。1960年代の硬質な演奏もいいが、晩年のECMでの爛熟(甘くとろける)の演奏も好きだ。ECMの音場との相性もすこぶる良い。

ECMの美音は、加飾の在り方で良し悪しが紙一重なんだけど、これはセーフ。米国で食べるデザートのように甘々の加飾なんだけど、ブレイの場合、その甘さに馴染む感じがあって、なんとなく許せた。これが菊地雅章の演奏になると、絶対許せない。

昨今のECMの音は、この加減が上手くできていない、と思っている。

[2020-8-10] 所々の微毒の苦さに

久しぶりにECMの音を聴いてみる。暫く、人工的なアコウスティック風の音響に軽く辟易していたのだ。 何を食べても同じ味がするような感覚があって。レーベルカラーとの相克だとは思うが。

このアルバムも若干、残響の付加が強く、ピアノの輪郭がややボケている。そんな小言をつい書きたくなるが、演奏は素晴らしい。晩年のECMでのアルバムは、ブレイの純度が高まったような、60年代のアルバムの冷たい硬質の音が蘇ったような感覚がある。そしてアヴァンギャルド系奏者との交感で放つ冷たい光。冷たい音の手触りが少し温もりを感じさせるような、不思議な矛盾した感触を与える。

随分昔、open to loveのレコード評にエロティックなピアノと書いてあったような記憶がある。それがこんな音の感触なんだろう。ただ美音を鳴らしているだけではない、所々の微毒の苦さにやられるのだ。曲の突き放したような終わり方、に唖然としたり、とか。

このアルバムもそんなブレイの変わらぬ魅力に溢れている。だから、もう少し残響を抑えて、ピアノの音の粒立ちを味わえるようにして欲しいのだ。

Play Blue - Oslo Concert by Paul Bley (2014-05-06)