K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(ECM2703) Nik Bärtsch: Entendre (2021) 霧の中の音だからこそ

Entendre

(ECM2703) Nik Bärtsch: Entendre (2021)
1. Modul 58_12(Nik Bärtsch) 8:57
2. Modul 55(Nik Bärtsch) 8:44
3. Modul 26(Nik Bärtsch) 13:55
4. Modul 13(Nik Bärtsch) 6:22
5. Modul 5(Nik Bärtsch) 10:06
6. Déjà-Vu, Vienna(Nik Bärtsch) 5:15
Nik Bärtsch(p, perc)
Design: Sascha Kleis
Engineer: Stefano Amerio
Producer: Manfred Eicher
Recorder at Auditorio Stelio Molo RSI, Lugano.
Released: 19 Mar 2021

https://www.ecmrecords.com/catalogue/1605701410

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ECMの新譜を聴かない時期、いやECMそのものを聴かない時期が長かった。菊池雅章の遺作あたりで、付加残響に嫌気が差した、部分もあるからだ。気になりだすと、楽器の輪郭がぼやけるようなあの音が駄目なほうに気になって仕方がなくなる、のだ。

先日のヴィジェイ・アイヤーのアルバムあたりを聴いて、そんな気分も弱まった(ECMの残響付加が、ではない)感じがしたので、ニック・ベルチュの新譜、も聴いてみた。

いや、やっぱり残響付加がキツすぎるなあ。音が滲んでいる。

でも、そんな事を跳ね除けるほど演奏は好み。ソロでのアルバム。饒舌でも寡黙でもない、過去のバンドでの演奏と継ぎ目のない音世界がソロで広がっている。柔らかでミニマルなファンク、といった印象のRouninなどでの演奏の上部構造を純化したような。繰り返されるフレーズがとても懐かしく感じられ、かなり中毒性がある。微毒なのだけど、気がつくと常習していそうな。

で、この録音での濁り、が、このアルバムの印象にプラスなのかマイナスなのか悩んでしまった。どうなのだろうか。霧の中の音だからこそ、毒があるのかもしれない。


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