K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

近藤等則: イズラエル(1993-94) IMAを解散した直後の「CD本」

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近藤等則: Israel(イズラエル)(1993-94, CALLING CO.,LTD)
  1. Desert melody Part (近藤等則) 13:24
  2. Cosmic vib. (宇宙波動) (近藤等則) 6:22
  3. Surrender for cry  泣かずにはいられない)  (近藤等則) 4 :38
  4. Desert melody Part 2 (近藤等則) 3:43
  5. Space temple (近藤等則) 5:41
  6. Nature-techno trance (近藤等則) 4:58
  7. 郷愁 -Nostalgy- (近藤等則) 2:30
  8. Desert melody Part 3 (近藤等則) 2:35
  9. Desert melody Part (近藤等則) 4:45
10. A love of Jerusalem  いとしのエルサレム) (近藤等則)  5:32
11. A spirit by The Dead Sea (近藤等則) 3:31
12. Soul is landing (近藤等則) 2:11
13. Theme of Nazareth (近藤等則) 1:49
近藤等則(tp, electronics)
M-1, 4, 7, 8, 9, performed at the Negev Desert,
M-11 performed at the Eingedi,
M-12 performed at jazz club, Jerusalem,
M-13 performed by the Sea of Galilee, December 1993.
M-2, 3, 5, 6, 10 recorded in Amsterdam, Jury 1994.
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近藤等則が、彼らしく、唐突にこの世から消えて随分経った。Toshinori Kondoがcreditされた新譜がbandcampで湧くように出てくるのを眺めていると、そんな実感が全くないのだけど。そんなことで、緩く彼の音源を蒐めている。1979年のボクに対し、山下洋輔がジャズの枠を壊してくれたように、近藤等則は音楽の枠を壊してくれた、その記憶がそうさせているのだけど。

(もっとも以下のサイトをみると、蒐めきることは難しいことが明白なのだけど。)

このアルバムはIMAを解散した直後の「CD本」。NHKでの「世界わが心の旅」での「イズラエル」(イスラエル、とは書いていない)訪問の顛末が本に、そして「地球を吹く」の最初期の収録となるイスラエルでのソロ演奏とアムステルダムでの収録が音源として収められている。アマゾンでの価格では全く手を出す気が起きなかったが、今回、手頃な価格で入手した。

地球を吹く、は映像作品としては面白いが、音として聴くとマンネリのなかにあったようにも思えている。本作品は、そんなマンネリ感を与えない強度を持っていて、かなり聴かせる。リズムを入れたトラックの方が好みかな。

本の方はIMA解散後の心境を知ることができる、という点では面白い。他の本と同様、彼の肥大した自己意識の独白の域は出ないが、人との出会いでは案外素朴な心象が吐露されていて、少し読ませる。

IMA以降、幾つもの面白いセッションがあり、彼への関心を失っていない。ソロでは内向的な狭い円環のなかでの音に終始したように思え、あまり関心を持っていない。それを打破するような最晩年の活発化ではあったが、それもまた過去の一瞬の出来事になってしまった。