K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(ECM1003) Paul Bley With Gary Peacock (1963, 1968) ECMの原点

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[ECM1003] Paul Bley With Gary Peacock (1963, 1968) 
A1. Blues (Ornette Coleman) 4:25
A2. Getting Started (Paul Bley) 4:25
A3. When Will The Blues Leave (Ornette Coleman) 3:54
A4. Long Ago And Far Away (Jerome Kern) 4:17
B1. Moor (Gary Peacock) 3:27
B2. Gary (Annette Peacock) 4:43
B3. Big Foot (Paul Bley) 3:28
B4. Albert's Love Theme (Annette Peacock) 4:57

Artwork: B. & B. Wojirsch
Photograph: Hans Harzheim
Recorded at New York
Recorded on April 13, 1963 & May 11, 1968.
https://www.ecmrecords.com/catalogue/143038750581/with-gary-peacock-paul-bley

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[2020-9-9] ECMの原点

昨日、聴き直した。

ECMの原点として、ジェフリー、ブレイ、スワローの1960年代はじめの3 thesisが取り上げられていて、それが後年、ECMでre-issueされている。それを聴くと、確かに「ジャズの室内楽」というECMの楽曲の思想は頷ける。それ以上に、Verve盤からECM盤に組み替えられる、そこでのイコライズ作業そのものが「ECMという包装」であり、ブランド化、とも云えよう。しかし、このre-issueはECM設立の遙か後年であり、ECMという音響空間は既に確立されている。だからジェフリートリオとECM設立の関係性は、楽曲の思想に留まる。

ECMらしい音響処理の原点はこのアルバムではなかろうか。これも1960年代のECMとは関係ないテープから作られている。しかし、無理なイコラズが鼻にはつくが、確かに現代ジャズの息吹を強く感じる演奏、音響空間があり、ボク達がECMだと思う何かが確かにある。

それは無着色の放送音源からのキース・ジャレットのハンブルグ1972にも云える。確かに、残響付加を中心とする「疑似教会的な空間でのジャズ室内楽」処理。

原雅明さんの本で、ECMの最初の何枚について言及し、ECMについて論じているが、現在のECMとの関連性でいうと最初の10枚は揺籃期の揺籃期。いろいろ試している最中で、方向性を感じない。ただパーツとしてのECMらしさが散らばっているだけ。その1つが、このアルバムでの音響処理であり、他のアルバムでの原さんの言及だろう。

ブレイとピーコックの極めて現代的な演奏に改めて関心したのだが、それ以上にECMの音響処理の原点を観て、可笑しかったので、そっちが気になって

 

[2016-08-12] 明確にブレイが苦手だった

ブレイ逝去の1年前の記事を読むと面白い。この時期は明確にブレイが苦手、だったのだ。1960年代後半のハーレムとか、アムステルダムでのライヴがダメだったので、幾つかのデュエット盤(steeple chaseのベイカーとかペデルセン)以外は聴いていなかった。ECMのレコード盤蒐集、聴きすすめのなかで、明らかに嗜好も変わってきていて、ブレイ、特にECMのブレイは好み以外の何者でもなくなった。

1年半くらいの時間の流れが随分と長いものに感じた。だから、記憶の補助装置、としてのブログは面白くて、記憶のタイムスタンプでもあるのだ。

 

[2015-1-23記事] 録音はよくないがECMサウンドの源流

Just Musicのあとに聴くと、正直ほっとする。まさにECMサウンドの源流。例のジミー・ジェフリー3に参加していたのがブレイとスワローだから、当然といえば当然。なかなかゲテモノ感がある最初期のECMなのだけど、これが中心のストライク、だろう。

ボクは、ブレイ自体は案外苦手。そう思うのは1960年代後半のライヴ盤の散漫な印象から。力なく漂う感じに、どうも慣れない。しかし、Steeple chaseのデュオ(ペデルセンとかベイカー)で、小品を弾いているときは、ピアノの響きをとても大切にしている様子、集中力のある演奏だと思った。だから改めてECMのopen to loveを聴いても、好ましく思った。小品を弾くのに適した、ヒトじゃないかな。

だから、このアルバムも比較的短い曲が多く、とても楽しめた。ピアノも良く鳴っているし、ピーコックのベースも力強く、ピアノとのインタープレイもとても面白い。これを聴いていると、「現代ジャズ」と称する多くのピアノ・トリオ群の源流なんだなあ、とはっきり思う。

このアルバムはECM設立前のブレイの私家録音。だから録音自体は良くない。それをECMでイコライズしたのだと思う。高音を強調している感じが、まさにECMの「香り」は確かにあって、Produced by ECMと記載されている意義、は分かるような気がする。確かに制作の大半はアイヒャーの手にないのだけど、この3番目のレコードが、ECMサウンドの開始点じゃないかな、と思う。

 

ポール・ブレイ・ウィズ・ゲイリー・ピーコック

ポール・ブレイ・ウィズ・ゲイリー・ピーコック

  • アーティスト: ポール・ブレイ,ゲイリー・ピーコック,ポール・モチアン,ビリー・エルガート
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  • 発売日: 2000/09/23
  • メディア: CD
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参考記事:

https://jazz.txt-nifty.com/kudojazz/2005/06/paul-bleyp-with.html