いつの頃からか本を読むことが苦痛になってきた。眼が見えないから。前職のある日、6ポイントのエクセルの損益資料が読めなくなっていることに気がついた。老眼。それに暗いところの文字が読めない。鳥目のようになっている。要は眼の能力を日々毀損していく様子が哀しい。だから、本を読んでいても、なかなか昔のような集中力が沸かない。眼が疲れるから。
相変わらずオヨヨ書林とかに行って古書をホイホイ買ったりするのだけど、読む方は進んでない。昔は積んでおけば、いつか読む日が来ると思っていたのだけど、この読書量だと読む前に命果てちゃうね。と、寂しくなることも、ままあるこの頃。
そんなこともあって、最近は文庫本を避けて、出来るだけ単行本を買うようにしている。眼が疲れないから。
ボクは翻訳モノが好きでないのだけど、珍しくブコウスキーは最近ちょっとだけ気になっている作家・詩人。生きていくことの殺伐とした空気、そのなかのヒトのざらざらとした感情を伝えるようなはなしが面白い。ボクたちが静かにフタをして隠している本能的な衝動をさらけ出されるような不快感や、そのなかに潜む本来的な優しさに救いを感じたりすることもある。
そのブコウスキー(とうに故人だけど)の欧州旅行のメモ・写真が本書。日々吞む、吞む、吞む。酔う、そして気がついたら朝を迎える。その繰り返しだけ。彼がとてつもなくシャイで恥を知りすぎているから底抜けに酒が必要なことが良く分かった。とてもイイ人間なのだ。わたしゃ厚顔で恥知らずだから酒少々、香辛料程度の酒を呑めば生きていける事もわかった。人間,かくも純にはなれないよなあ、と恥ずかしくなってしまった。勿論、吞めば恥を知ることになる訳じゃないよ。そんな意味ではないから、勘違いしないでね。