K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Miles Davis: Black Satin

Miles Davis - Black Satin
1.5 hours
Miles Davis(tp, org), Dave Liebman(ts, ss), Pete Cosey(g), Reggie Lucas(g), Michael Henderson(b), Al Foster(ds), James "Mtume" Foreman(perc)
1973, live at Shinjuku Kohsei Nenkin, Tokyo

 実はそれなりにマイルス・ファンで、LP/CDも正規盤はかなりカヴァーしているし、Bootも氷山の一角だけど気になるモノは手に入れた。1981年(だったか)に復活してからのライヴも案外見ているし。それなりに彼の晩年をともに共有した感覚はある。もっともマイルス好きのジャズファンって、何となくベタな感じで、まあブログに取り上げることもないかなあ、という感覚。(クラシックのマニア本を読んだら、スクリャービンの好演ディスク紹介でホロヴィッツを恥ずかしながら紹介している記述があったけど、その感覚と同じです。今更感が強いということ。)

 残念だったのは一番好きだった1970年代の演奏にリアル・タイムでつきあえなかったこと。1975年までだったから。精神的オムツが取れていない中学生だったから。1970年代前半のときめくようなジャズの飛翔を体験したかったなあ、と未だにせんのないことをボンヤリ思ったりする。

 ただ電化楽器でファンクが過激化した1970年代は、そのスタートであるビッチェス・ブリューのミリオン・ヒットと裏腹に大衆受けしなかったようだ。だから当時、公式音源はあまり発売されていなかった。ヴィデオも然り。昨日の記事にも書いたのだけど、「好き者」には恍惚感を与えるプレイなので音源の渇望感はスゴイものだった。

 そんな感覚も21世紀に入って、大量の未公開音源や映像の流通がはじまって、満腹感で埋め尽くされたのだけど。1973年のマイルスのライヴについては、白眉はデイヴ・リーブマンのサックス。マイルスとの闘争的な演奏は素晴らしい。その分、リズムの印象は薄い。1975年のライヴの方が、聴き手に陶酔感を与えるようなリラックスの瞬間があり、リズム・セクションの完成度が頂点に達している。1973年の公式盤はDark Magusだけなのだが(その後リリースされたモントルー公演のボックス・セット20枚組の2枚が1973年)、Boot legはかなりの数が出ている。ボクが持っているBoot legは、ここで取り上げている東京厚生年金での音源「Black Satin」と欧州公演(モントルーストックホルム)のDVD。音があまりよろしくないので、ほとんど公式盤のモントルー2枚を聴いているのだけど(ピート・コージーの出来が悪い。1975年と比べようもない)。

 さて、2日連続でマイルスを記載するのは、1973年のマイルス・デイヴィスの東京公演がNHKで放送されるのだ。驚いた。

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2011年9月30日(金)  25時40分〜26時40分(つまり、10月1日)

番組内容  ジャズの帝王マイルス・デイビスが亡くなって、9月28日で20年を迎える。このほど、1973年に来日した際、東京・厚生年金会館で収録され、NHKの「世界の音楽」という番組で放送されながら、長らくテープが行方不明だった伝説のライブが、デジタル・リマスター版で発見された。番組では、エレクトリック・マイルス絶頂期の貴重な映像とサウンドを、たっぷりと60分お届けする。案内役は、小川隆夫菊地成孔

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ちょっと変な紹介文を引用(デジタル・リマスター版で発見される訳ないでしょう)。菊地成孔の話しなんかイラナイのだけど、気になるヒトは録画すべし! 期待は画質と音質。NHKの技術。たっぷり60分、というのも泣けるのだけどね(本当は1時間半あるから)。

教えて下さったSleeper氏に深謝申し上げます。

NHKの技術が加わる前はコレ。ビフォー・アフターのビフォーを一見ください。