ようやく春の気怠い空気が流れてきた。少しツンとするような冷ややかさと、流体の如くまとわりつく温みのなかに居るような感じ。櫻をみるならば、澄んだ大気のもとがいいのだろうが、ただぼんやりと春の感触を楽しむならば、霧雨に靄っているのも悪くない。それでも遠くに白山がみえたりするから面白い。
ここ数日、夜明け頃に眼が醒める。そして、ぼんやりと聴いているのはHenckのモウポウ集:ひそやかなる音楽。カタルニアの作曲家なのだけど、外向的・エスニックな音ではない。内省的、と云われるようなオト。だからECMでモンポウ集をみかけたら、即、注文いてしまった。
やはり狙いとおりのオト。夢から覚めた後のような気だるさと、所在のないような心地のなかで、どこかで落としたオトをひとつ・ひとつ拾っていくような過去の追想。春なのに、部屋の角で膝を抱えるような気分、それが何となく心地よい。以前聴いたハフの演奏よりも、オトの温度が低いので、余計にそのように思える。
霞のような濁った大気の向こうに櫻が咲き乱れている。そんな光景との距離感がとても良く、独りふわっと遊泳していくような春の曙に聴き続けている。
- アーティスト: Federico Mompou,Herbert Henck
- 出版社/メーカー: Ecm Import
- 発売日: 2000/02/01
- メディア: CD
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(ECM1523) Herbert Henck: Mompou/Música Callada(1993)
Book 1
1. I Angelico 2:02
2. II Lento 1:29
3. III Placide 1:24
4. IV Afflitto E Penoso 2:54
5. V ([M.M.]♩= 54) 2:44
6. VI Lento 2:18
7. VII Lento 2:46
8. VIII Semplice 0:39
9. IX Lento 2:58
Book 2
10. X Lento – Cantabile 1:21
11 . XI Allegretto 1:02
12. XII Lento 1:47
13. XIII Tranquilo – Très Calme 1:54
14. XIV Severo – Sérieux 1:49
15. XV Lento – Plaintif 2:00
16. XVI Calme 2:26
Book 3
17. XVII Lento 2:09
18. XVIII Luminoso 1:50
19. IXX Tranquilo 2:20
20. XX Calme 3:16
21. XXI Lento 2:16
Book 4
22. XXII Molto Lento E Tranquilo 2:28
23. XXIII Calme, Avec Clarté 2:09
24. XXIV Moderato 1:56
25. XXV ([M.M.]♩= 100) 2:29
26. XXVI Lento 2:43
27. XXVII Lento Molto 3:13
28. XXVIII Lento 4:11
Herbert Henck(p)
Composed By – Federico Mompou
Design: Barbara Wojirsch
Engineer [Tonmeister] : Andreas Neubronner
Producer: Manfred Eicher
Recorded August 1993, Festeburgkirche Frankfurt am Main