K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

或る日、或る冬の夕暮れ


 1月もお仕舞いに近づくと、日が長くなってくる。仕事を終えて、急いで帰ると、薄暮の中に沈みいく景色を眺めることができる。だから、午後3時を過ぎ、日が傾きはじめると何だかそわそわしてくるのだ。東の雲が西方から照射される低い波長の光で淡く茜色になっていく。藍色が次第に闇そのものへ变化していくのを眺めている。

部屋の中に強い光が差し込む。春に向かって地軸の傾きが戻っていくなか、冷たい大気のなかを貫き通す光の熱さを感じる心性は、どこからやってくるのだろうか?

 すっかり日が沈んでしまうと、南の彼方でうっすらと朱に包まれて消えんとする白山が浮かんだ。僅かな時間だった。カメラから頭をあげたら、もう闇の中だった。

  それから呑みに出た。そんなときは広坂でバスを降りて、ゆっくりと21世紀美術館を歩く。展示のメタ・モダン(そんなコトバあるかな?)的な傾 向は全く好みに合わないので、中に入ることはあまりないのだけど、建物、あまりに大きな空漠としたものを表すような、はとても好きなので、闇と光のコント ラストを愉しむような時間を過ごす。雪が積もっていた。雪が放つものは光か?柔らかな凹凸が作り出す陰翳を眺めると飽きない。そして強い光を放ちながら、 まるで実態がないような硝子の塊を愛でているような気分になった。

 或る日、或る冬の夕暮れのことなのだけど、なんだかいつもでも記憶に沈着しそうな気がする。