K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

長くも短いバンコクの日々


 朝、夜明けの随分前にホテルを出た。

 今回の滞在は忙しかった。現地時間の6時に目覚めて、7時から行動していた。まったく南方に来た実感を劣化させるようなバンコクの日々だった。仕事だから、仕方が無いのだけど。殆ど、といってもいいほど、自由時間はなかった。ただ、少しばかりの時間に、路地のオープン・バーに座って、ぼんやりビールを呑むくらい。そんな端切れ、のような時間を過ごすのに、スクムヴィットのsoi11は適当な通りだ。この数年で、饐えたような臭いは一掃されて、実に爽やかになったのが、モノ足りないのだけど。

 乞食や旅芸人がまだいて、空き地には塵芥が腐臭を放ち、川はドブ、そんな昭和の中頃に生まれたボクが、半世紀ほど前の空気、を想い出すような感じなんだな、ここは。日本があんなに綺麗になったのは、いつからだろうか。そんなことを、考えていることが多い。

 出国審査を済ませて、搭乗する頃に夜明け。金沢までの長い1日がはじまった。